国連児童基金(ユニセフ)が最新の「世界子供白書2024」を発表しました。この白書では、2050年の子どもたちが直面する可能性のある課題を取り上げ、未来をより良くするための行動を呼びかけています。今回の報告では、特に注目すべきポイントとして、人口動態の変化、気候危機、先端技術の進展の3つのメガトレンドが挙げられています。
人口動態の変化
2050年には、子どもたちの人口は約23億人規模を維持すると予測されていますが、地域による子どもたちの割合には大きな差が生じる見込みです。アフリカでは子どもが総人口の40%を占める一方で、東アジアや西欧ではその割合が19%を下回ると推測されています。このような構成の変化は、子どもたちに対する支援を含めた社会サービスの拡充を求められる国々が増える一方で、逆に高齢者への支援が優先される国も出てくるため、社会的なバランスを考慮する必要があります。
気候危機による影響
気候変動の影響は、既に多くの国で明らかになっています。現在、子どもたちの約半数にあたる10億人が、気候災害や環境危機の影響を強く受ける地域に住んでいます。このままでは、2000年代と比較して極端な気象イベントにさらされる子どもたちの数が大幅に増加する見込みです。この危機に対して適切な行動が取られなければ、未来の世代は更なる困難に直面することになるでしょう。
先端技術とデジタル化の影響
一方で、テクノロジーの進展も無視できません。人工知能や次世代の再生可能エネルギー、先進的な医療技術などは、子どもたちの未来をより良くする可能性を秘めています。しかし、これらのテクノロジーがすべての子どもたちに平等に恩恵をもたらすわけではありません。デジタルデバイド(情報格差)が存在し、十分な教育やサポートを受けられない子どもたちが出てくる恐れも指摘されています。
ユニセフの報告では、これらの分析をもとに、現状維持のままで進んだ場合、行動が迅速に行われた場合、そして行動が遅れた場合のそれぞれのシナリオを示しています。そして、現状維持の危険性を訴えたうえで、より良い未来に向けた行動が求められています。
日本での取り組み
日本ユニセフ協会は、この白書の日本語版を公開しました。この報告書を通じて、日本がどのようにこれらの課題を克服してきたかを知ることができ、未来に向けたヒントを見つけることができるでしょう。公式の要約は以下のリンクからアクセスすることができ、教育や研究に利用することも可能です。
世界子供白書2024 日本語版
今後、私たち一人ひとりが子どもたちの未来を考えるきっかけになることが期待されています。多くの方々にこの問題の重要性を理解してもらい、共に行動していくことが求められています。ユニセフは、その取り組みをさらに進め、すべての子どもが安全で幸福な日々を送るための支援を行っていくことを目指しています。