熱中症対策意識調査:多くの人が危険を認識も対策は遅れ気味
日本赤十字社は、全国の男女1200名を対象に熱中症に関する意識と行動について調査を実施しました。この調査により、多くの人が熱中症の危険性を理解している一方で、いざ実行する際のタイミングには課題が見えてきました。
熱中症への意識の現状
調査によれば、実に86.6%の人が熱中症の危険性を認識していると回答しました。しかしながら、実際に予防対策を行う時期は7月からという人が34.7%に達する反面、熱中症について意識し始めるのも同じ時期であることが明らかになりました。特に40~60代の方々は5月から意識して対策を講じる傾向があり、年齢が高いほど早期の警戒が見られています。
一方で、過去に熱中症の予防や対策を行ったことがある人は1074名中、45%が7月に対策を始めたと回答しており、これが対策の開始時期と急激な気温上昇が一致していることを示しています。
暑熱順化の認知度
重要なキーワードとして挙げられるのが『暑熱順化』ですが、この言葉を知っていると回答した人はわずか12.0%に過ぎません。残る88.0%はこの概念に対する理解が不十分であることが明らかになりました。体を暑さに慣れさせることで熱中症を防ぐ手段として、定期的に軽い運動をすることが推奨されています。
予防対策の実態
熱中症を意識するきっかけとしては、天気予報やニュースが多く、55.6%の人がこの理由を挙げています。過去1年間で実際に熱中症と診断されたのは3.1%で、多くの人が自覚のある症状を感じているものの、絶対数はそれほど多くはありません。しかしこの調査からは、熱中症の危険を感じているにもかかわらず、実際の対策に移るタイミングにズレがあることが伺えます。
救急法講習への参加促進
日本赤十字社では、熱中症に関する予防法や応急手当についての講習を行っています。体温調整の機能を高めるためには、事前の対策が必要です。特に、室内外での温度差に注意し、適切な水分補給や体を冷やすことが重要です。また、エアコンや扇風機を活用し、清潔で通気性のある服装を心がけることも効果的です。
まとめ
調査結果からは、熱中症に対する意識が高まっているものの、実際には行動に移すまでの間にタイムラグが存在していることが分かりました。熱中症は予防が可能な病気であり、正しい知識を持つことが一歩目です。特に体を暑さに慣れさせる『暑熱順化』に着目し、自分自身と周囲の人々を守るために積極的な対策を実施することが求められています。日赤としては、さらなる啓発活動を続けていきます。