2025年大阪・関西万博に向けた「森になる建築」の完成
2025年4月、国際博覧会である大阪・関西万博が開催される中、会場内「大地の広場」に、注目の建築物「森になる建築」が完成しました。本建築は、竹中工務店が手掛け、最新の3Dプリンティング技術と伝統的な手づくり技術を融合させて造り上げられました。
環境を意識した建築物
「森になる建築」は、直径4.65m、高さ2.95mの2棟で構成されており、万博期間中は来場者のための休憩施設として利用されます。この施設の特筆すべき点は、環境に配慮されていることです。構造体には生分解性樹脂が使われ、外装には一般市民がワークショップで作成した「シーズペーパー」、すなわち植物の種をすき込んだ和紙が施されています。
さらに、伝統工芸の職人や福祉施設の協力も得て、地域社会と共に完成させた建築物は、多様性を尊重する象徴とも言えるでしょう。使用後は廃棄されるのではなく、自然に還ることが目指されています。
技術の進化と社内コンペからの発展
このプロジェクトは、2020年から2021年の社内コンペで最優秀賞を獲得した「Seeds Paper Pavilion」というアイデアから派生しています。技術開発や強度試験を行い、2024年7月から建設が開始されました。日本初の「酢酸セルロース造」として、3Dプリンターを使用し、現地で製造された構造体は、今年の2月に「検査済証」を取得しました。これにより、未来の建築様式が一歩踏み出しました。
参加した企業と団体
「森になる建築」の実現には、多くの企業と団体の協力がありました。素材開発を担当したのは、株式会社ダイセルをはじめ、エス・ラボ株式会社や株式会社ニフコ、阪神園芸株式会社、大和板紙株式会社など、多岐にわたる専門企業が関与しています。また、兵庫県立人と自然の博物館が植栽技術の開発や指導を行い、地域との結びつきを強化しています。
未来を見据えた取り組み
竹中工務店は今後も、環境との調和や社会との共創を目指し、新たな建築技術の開発に積極的に取り組む意向を示しています。持続可能な未来に向けて、都市と自然の調和を実現する建築物として、この「森になる建築」が市民や来場者に多くのインスピレーションを与えることでしょう。
まとめ
「森になる建築」は、ただの休憩施設ではなく、環境意識や地域とのつながりを大切にした新時代の建築物です。2025年の大阪・関西万博において、多くの人々がこの革新的な施設を体験し、建築と自然の新たな可能性に触れることを期待しています。