NECの調査結果:コンテンツIP事業者の現状と課題
NECが国内で展開するコンテンツIP事業者に対する調査を実施し、その結果が業界の現状を浮き彫りにしました。この調査は、日本のコンテンツ産業の海外売上高を2033年までに20兆円に引き上げるという政府の目標に対する、業務状況や課題を把握するために行われました。
調査概要と重要性
本調査は2025年6月20日から23日の間に実施され、有効回答数は504件となっています。特に、従事者がどのようにデータを活用しているのか、海外市場での課題感などが掘り下げられています。この結果、今後の戦略形成や施策の見直しに資する情報が得られました。
データの重要性
調査からは、IP法務や資金調達に関わる業務では、回答者の8割以上がデータの重要性を認識しており、そのうち45.8%は「とても重要」と回答しました。対照的に、直接IP制作に関与する立場では、この割合が32.3%に留まっており、データの重要性に関する認識の違いが浮き彫りになっています。このことから、ビジネスの規模拡大を見込む業務関係者は、データ活用の必要性を感じていることが伺えます。
主な調査結果
IPビジネスの課題
調査の結果、以下の点が主な課題として挙げられました。
- - 新規顧客の獲得
- - 国内市場の縮小・飽和
- - 人材スキルの不足
特に国内市場の縮小が影響し、新しく顧客を獲得することが大きな課題となっています。これにより、グローバルな視点を持つ人材の必要性も高まっています。
国外進出に伴う障壁
国際市場への売上拡大に向けての課題も明確です。具体的には、グローバル視点を持つプロデューサーや経営人材の不足、制作費高騰に対するビジネスモデル構築の遅れなどが挙げられています。
今後の戦略
企業が今後注力したい戦略としては、AI導入による業務効率化、メディアミックス展開、有益なデータの整備が主要な点として浮上しています。特に、後者は市場ニーズを把握し、競争力を高めるために不可欠です。
データ活用の障壁
データ活用の推進に向けては、社内でのデータ収集体制や分析人材の不足が大きな障壁として浮かび上がってきました。これらの課題をクリアするためには、効率的な体制整備が急務です。
有益だと考えるデータ
自社にとって有益だと考えられるデータとしては、各国でのIP需要に関する情報が最も重要視されており、人気度データも重視されています。
NECの今後の展望
NECでは、今回の調査結果をもとに、海外ビジネスの拡大を目指す事業者をサポートするための新たな施策を展開予定です。具体的には、ParrotAnalytics社との連携によるデータ分析サービス「Demand360」がその一部を担います。このサービスは、国際的な需要を定量的に評価するための強力なツールとなります。
結論
日本のコンテンツIP事業者は、海外市場への進出にあたる課題が数多く存在しており、データ活用がその解決の鍵を握ります。今後は、業界全体で効果的なデータ活用を推進し、市場の成長を目指していくことが求められています。NECはこの流れを支えるため、多方面での支援を進めていく方針です。