大阪から台湾のシールドマシンを遠隔操作する新技術の導入
株式会社奥村組及び奥村機械製作株式会社は、台湾の新竹市で進行中のシールド工事において、シールドマシンを約1,800km離れた大阪から遠隔操作できる新システムの開発に成功しました。このシステムは、熟練オペレーターの不足を補うために導入され、各現場に常駐する必要がなくなることが期待されています。
背景:熟練オペレーター不足の問題
シールドトンネルの掘進には専門知識を持つオペレーターが不可欠です。しかし、日本や台湾では、技能労働者の高齢化と新たな入職者の減少に伴い、熟練オペレーターが不足しています。この問題に対処するため、奥村組と奥村機械製作は、遠隔からシールドマシンを運転できる仕組みを考案しました。
本システムの概要
新たに開発したこの遠隔操作システムは、インターネットを通じてシールドマシンの制御コンピュータに接続し、遠隔地からの操作を実現します。これまでの泥水式シールド工法においては、工事ヤード内での中央管理室からの遠隔操作が可能でしたが、今回のシステムによって、中国など海外からの遠隔操作が行えるようになりました。
現場での検証結果
実際に、大阪の本社で遠隔操作PCを設置し、台湾科学園区で進行中の宝山シールド工事(φ4,530mm、延長2,813m)に接続しました。結果、遠隔操作信号のタイムラグは1秒以内で、掘削、推進、排土といった主要な機構を問題なく操作することができました。また、インターネット接続を意図的に遮断するテストでも、復旧後すぐにシステムが自動接続され、スムーズに遠隔操作を再開できることが確認されました。
今後の展望
今後、通信の安定性や施工の安全性のさらなる検証を進めると共に、台湾で予定しているシールド工事4件や国内のシールド工事にも本システムを適用していきます。また、熟練オペレーターが遠隔で技術指導を行う体制を整えることで、今後の技術者の育成や不足解消に努めます。これにより、シールド工事の効率化や安全性の向上が期待されます。
本件に関するお問い合わせ先
土木本部土木・リニューアル技術部技術2課
江本宏明(えもとひろあき)
TEL:090-9544-1040
E-mail:
[email protected]
この新技術導入により、国境を越えた建設業務が円滑に進むことが期待され、将来的には他の国でもこのシステムが採用される可能性があります。技術革新が進む今、シールド工事の新たな時代が幕を開けようとしています。