企業のOJTにおける課題と新入社員育成の現状とは
企業が新入社員や若手社員を育成する上で欠かせない手法の一つがOn-the-Job Training(OJT)です。しかし、最新の調査によると、多くの企業がOJTに関して様々な課題を抱えていることが明らかになっています。
調査結果の背景
ALL DIFFERENT株式会社が実施した調査によれば、新入社員の早期離職が増加しており、厚生労働省のデータによると、新卒者の約3割が入社から3年以内に離職するという現実があります。このような現象は企業にとって大きな損失であるため、効果的な育成方法が求められています。特に、入社前後のギャップや業務の難しさを感じる若手社員が多いことが離職意向に影響しているとされています。
OJTの課題
人事部門から見たOJTの最大の課題は、「OJT担当者によってやり方や精度にバラつきがある」という点です。調査において約9割の企業がOJTを実施しているものの、従業員規模ごとの違いが浮き彫りになりました。特に、100人以下の企業では「適切な指導ができるOJT担当者が不足」との回答が多く見られました。
一方、301人以上の企業では「OJTを担当者任せにしていて、他部署のフォローがない」との結果が目立ちました。このような段階的な課題の見え方の違いは、各企業の規模や仕組みによるものです。
主体性と積極性の育成
新入社員や若手社員にとって「主体性」や「積極性」は重要な要素ですが、これらを育成するにあたって現場でのOJTが欠かせません。人事担当者は「主体性を持って自分から動いてほしい」という期待を持つ一方で、その具体的な実行に対する手厚い支援が必要です。
OJTでの育成ポイント
1.
意図的な目標設定: OJTはただ業務を通じて成長を促すだけでなく、主体的に行動する力を育てることを目指さなければなりません。具体的な目標として「業務改善に対して自ら意見を出せること」を掲げることで、若手社員に明確なビジョンを提示しましょう。
2.
段階的な計画立案: 若手社員にとっていきなり主体性を求めるのは難しいため、徐々に業務に慣れさせながらステップアップを図る必要があります。まずは基本的な業務を理解してもらい、できることが増えるにつれて徐々に意見表明を促すと良いでしょう。
3.
継続的なフィードバック: OJT担当者が定期的に成長を見守り、タイムリーなフィードバックを行うことは極めて重要です。若手社員が意図的に変化しようとする際には、ポジティブな声かけやフィードバックを意識的に増やすことで、モチベーションを上げられます。
課題解決に向けたアプローチ
調査結果からもわかる通り、OJTの改善策を具体的に検討している企業は少なく、3割以上が未検討であるという結果が出ています。これは、OJTが他の業務に比べて優先度が低く見られているためと考えられます。
また、大企業では「心構えの醸成」を最大の施策とする傾向が見られました。これは、OJT担当者自身が成長するための意欲を持ち続けることが重要であることを示しています。
まとめ
本調査の結果は、若手社員育成に向けたOJTの重要性と課題の背後にある要因を明らかにしました。人事部門は、新入社員が期待される「主体性」や「積極性」を発揮できるよう、具体的な育成策と計画を明確にする必要があります。企業がこの難題に対処することで、より強固で活力あふれる組織を構築できるでしょう。