調査の背景
旅先でつい立ち寄ってしまうものや、探してしまうアイテムがありますよね。それは観光の主役こそではありませんが、旅行を豊かに彩る名脇役でもあります。株式会社JTB総合研究所が行った「旅先で惹かれるものに関する調査」では、旅行者が求める体験や行動について深く掘り下げました。
調査結果の概要
この調査にて非常に興味深いことが明らかになりました。観光旅行を年に一回以上している人たちに対するアンケートによると、旅行中に何かに惹かれることがあると回答した人は、なんと65.5%にも達しました。つまり、多くの人々が旅先での「ついしてしまう行動」を持っていることが分かります。
人気の行動トップリスト
特に人気が高かった行動は、「ソフトクリームを食べる」「街道歩きをする」「その土地のカフェや喫茶店を探す」「レトロな建物に行く」といったものでした。これらの行動は、日常生活でも行うことができるものですが、旅行先特有の雰囲気を味わうことができるため、多くの人々が惹かれています。興味深いことに、男女の差はあまり見られず、男性がより多く回答したのは「街道歩き」や「旅先のスタンプを集める」といった達成感を求める活動でした。
個人の体験と探求心
JTB総合研究所では、調査の中にインタビューも取り入れ、一人ひとりの具体的な旅行の体験について聞きました。結果的に、旅行者は普段の生活の中にあるものでも、旅先特有の異なる側面や文化にふれることで新たな発見をする楽しさを感じていることが浮き彫りになりました。また、「いつもとはちょっと違う」という感覚が人々を惹きつける要因となっているようです。
旅行目的の変化
さらに、「つい惹かれてしまうこと」を目的に旅行することがあるかを尋ねたところ、なんと46.7%が「そのことを目的に旅行をする」と回答しました。これは、従来の観光の副次的な楽しみ以上に、この行動が旅行全体の動機になることを示しています。SNSの普及により、旅行の計画も変化してきていて、写真を見て惹かれることで行先を決定するスタイルが一般化しているのです。
観光の未来に向けて
この調査から見えてきたポイントは、単に壮大な景観や歴史的な名所ではなく、普段の生活に近いちょっとした体験が、旅行の重要な要素であると言えるでしょう。また、特にZ世代の旅行者が増える中で、彼らが求めるのは非日常ではなく、わずかに異なる日常なのかもしれません。今後、観光地はこうしたニーズに応えるために、これまで見過ごされてきた日常的な要素を資源として再考し、より多様な体験を提供する必要があります。
JTB総合研究所は今後も、旅行者が何を求めているのかを探求し続け、地域と旅行者の双方にとって豊かな体験を生み出すための調査を進めていきます。