NECが物理的安全性を確保する暗号デバイスの設計法を開発
NECは、京都大学院情報学研究科の上野嶺准教授、及び東北大学の本間尚文教授と伊東燦助教と協力し、物理的安全性が保証された暗号デバイスの設計方法を新たに開発しました。この手法は、消費電力や放射電磁波といった物理的情報の漏えいを解析した結果、暗号デバイスの安全性を従来の方法よりも半分以下のコストで実現するもので、世界でも高い効率を誇っています。
暗号技術とサイドチャネル攻撃
デジタル社会において、電子メールやオンライン取引を含む様々な情報通信の安全性確保が求められています。この領域では、暗号技術が幅広く活用されており、秘密鍵を用いてデータを安全に保護する役割を果たしています。しかし、一方で暗号デバイスの物理的な漏えいを悪用する「サイドチャネル攻撃」が大きな問題となっています。サイドチャネル攻撃は、物理的な情報を観察することで秘密鍵を推測できる脅威です。このため、その対策が求められてきました。
研究成果の概要
今回の研究では、物理的漏えいに関する情報を数学的に解析し、それに基づいて暗号デバイスの物理的な安全性を定量的に評価する技術を開発しました。この技術により、漏えい対策の安全性を確保した上で、新たな設計手法を提案。これは、今後スマートフォンやICカードといった普及した情報通信機器における安全性向上に寄与することが期待されます。特に、マスキング技術を用いた暗号デバイスの防御性能が注目されています。
研究の重要性
サイドチャネル攻撃対策であるマスキング技術は、長年にわたり研究が続けられてきました。しかし、攻撃者がデバイスから得られる情報に対するマスキングの効果を定量的に評価することは難しいものでした。本研究グループは、確率論や情報理論を駆使して、どの程度の条件下でマスキングが有効であるのかを示しました。この成果は、実用化に向けた大きな一歩であり、理論的な根拠を持つことでフェーズが一新されます。
今後の展望
本成果は、2026年に米カリフォルニア州サンタバーバラで開催される国際暗号学会議 (CRYPTO 2026) で発表予定です。今後は、この技術を現実のアプリケーションに適用し、さらなる評価を通じて社会実装を図る計画です。実際のデバイスにこの設計手法を実装することで、安全性の向上を目指します。
NECと大学との共同研究は、安全な情報通信社会の礎を築くとともに、デバイスの設計に革命をもたらす可能性を秘めています。今後の進展に期待が寄せられます。