調理師養成施設入学者・留学生実態調査の概要
公益社団法人全国調理師養成施設協会(以下、全調協)が2025年度の「調理師養成施設入学者・留学生実態調査」を実施し、結果が発表されました。この調査は、調理師養成施設の実態を把握し、業界行動に役立てることを目指しています。
入学者数の回復
ここ数年、調理師学校の入学者数はコロナ禍の影響で減少していましたが、2025年度には昨年度よりも増加しました。これにより、飲食業界における調理師の需要が高まっている状況が反映されています。
調査によると、特にコロナが収束し、観光産業の復活が進む中で、調理師が現場で求められる本格的な環境が整っているため、入学者数が回復したといえるでしょう。コロナ禍の影響で減少した分の回復は、業界にとっても明るいニュースです。
留学生の動向
また、留学生の入学者数も増加傾向にあり、2025年度の入学者総数は348人に達しました。これは昨年度から84人の増加を示しており、改善の兆しが見えています。特に興味深いのは、出身国が多岐にわたることで、この傾向は今後の調理師学校への多様な影響をもたらすでしょう。
留学生数の増加の背景には、アジア圏を中心とした28カ国からの入国者が多いことが挙げられますが、国内での調理業務に携わるために「特定技能」を利用するケースも増えており、これからの動向に注目が集まります。
課程の選択
調理師学校に入学した留学生を課程別にみると、主に1年制よりも2年制以上のコースに在籍する学生が多いことがわかります。このデータは、より専門的な技術を習得したいという意識を反映していると考えられます。
留学生の専攻料理部門
さらに、留学生が専攻する料理部門についても調査が行われました。その結果、日本料理を専攻する学生が約6割という高い割合を示しましたが、以前に比べて専門料理部門を専攻しない学生の割合も増加しています。日本料理の人気は依然として高いものの、専門性の探求が進む傾向も見逃せません。
未来に向けた動き
全調協は、今後の調理師不足への対策や調理師の社会的評価の向上に向けた取り組みを進めています。調査結果を基に、10年先を見越した教育方針や業界育成プランに反映させていく考えです。これにより、調理師の地位向上や人材確保に向けた根本的な改革が期待されます。
このように、調理師養成施設の入学者数や留学生の動向は、業界全体に影響を及ぼす重要な要素です。これからの調理師業界の未来について、引き続き注視していきたいところです。