低酸素ウェルネスの実証試験が始まる
2023年10月6日、東京にあるLiSH(TAKANAWA GATEWAY Link Scholarsʼ Hub)で、リジェネソーム株式会社と東北大学が共同実施する低酸素環境に関する実証試験のキックオフイベントが開催されました。本イベントには、多くの研究者や投資家、また一般参加者が集まり、低酸素が健康に与える影響を具体的に体験する機会となりました。
イベントのハイライト
イベントでは、東日本旅客鉄道株式会社の宮嶋耕平氏が「TAKANAWA GATEWAY CITY」について、そしてリジェネソームの社長、佐久間善太郎氏が同社の概要を紹介しました。また、東北大学助教の中井琢氏からは、実証試験の詳細について説明がありました。
会場内では、リジェネソームのCEOである鈴木健吾氏が、低酸素環境を活用した老化関連事業の未来について議論し、さらに岐阜大学の岡田大瑚氏がDNAメチル化を基にした「エピジェネティック時計」の概念についても披露しました。イベントの最後には、参加者同士のネットワーキングタイムが設けられ、新たなビジネスチャンスが生まれる場となりました。
体験型の展示
特筆すべきは、実際の低酸素環境を模した展示空間が設置され、参加者はその中での体験を通じて血糖値測定デモを行いました。この環境は標高3,000メートル相当の低酸素状態を再現しており、参加者はその中での身体の反応をリアルタイムで観察することができました。
どのような試験が行われるのか
本実証試験では、LiSHで勤務する成人20名を対象に、週3〜5日、1日1時間、4週間にわたって低酸素環境に身を置く介入が行われます。在勤務中には、血糖値、血圧、唾液中のDNAメチル化状況が計測されます。リジェネソーム社は、この試験結果を用いて低酸素環境がもたらす健康効果についての科学的証明を目指し、今後のウェルネス技術や宇宙医学研究への応用を図ります。
リジェネソーム社の目指す未来
鈴木CEOは、「この実証試験は、地球上の健康課題を解決する可能性を探るものです。僕たちの目標は、低酸素環境を体験しながら働ける形で、未来のウェルネスを日常生活に取り入れることです」とコメントしています。これからの展開に期待が寄せられます。
今後の展望
リジェネソーム社は今後、2025年に取得したデータをもとに、低酸素適応を活かした新規ウェルネス製品やヘルスケアプログラムの開発を計画しています。また、親会社であるスペースシードホールディングスと協力し、「地上での科学技術の宇宙応用」を目指したロンジェビティ・エコシステムを形成し、国内外の大学や研究機関、企業と連携を深めていく方針です。
リジェネソーム社について
リジェネソーム社は、ナノ粒子エクソソームを利用し、再生医療や老化抑制の新しい解決策を提供することを目指しています。2025年5月には、本社兼研究所「高輪ロンジェビティーラボ」をLiSH内に開設し、さらなる研究開発を進めます。健康寿命の伸長や宇宙医学分野への貢献を目指していくか、楽しみです。