10代のためのアドラー心理学
最近、自己肯定感や意欲の低さが懸念される10代の若者たち。学校に行けなくなる不登校の子が増える中、私たちは何を彼らに提供すべきなのでしょうか?その答えとして、アドラー心理学が注目されています。
アドラー心理学はこれまで、主にビジネスや子育ての分野で大人向けに広がってきました。しかし、その教えが本当に必要とされているのは、今まさに自分を見つめ直す10代の子どもたちかもしれません。著者の岩井俊憲氏は、40年のキャリアを持ち、アドラー心理学を学ぶ皆にその本質を伝える方法を模索してきました。
自信とは自分を信じること
本書『自分を信じる勇気』では、「自信」とは「自分を信頼すること」だと説かれています。勉強、部活、学校生活、進路の選択といった多様なテーマを用いて、アドラー心理学の根幹となる「劣等感」「性格」「目的論」「自己決定論」をわかりやすく解説します。これにより、若者たちが新しい挑戦に対して持つためのメンタルの鍛え方を学ぶことができます。
重視されるのは「劣等感」です。10代においては、自己否定につながりかねない重要なテーマですが、アドラーはこの感情を決して否定せず、「劣等感は自分の理想がある証拠」としています。これは非常に重要な視点であり、彼の理論では過去の出来事ではなく、現在の「目的」が重要だとされています。これにより、過去をどのように捉え、活かしていくかは自分次第であるというメッセージが強調されます。
10代の悩みに寄り添う
さらに、アドラー心理学のエッセンスを通じて、若者たちが抱える悩み—「頭がいいとは何か」「性格はどう作られるのか」「自分らしさとは」「人生の目標設定」—に寄り添った内容が展開されています。
小学校5年生からも理解できるようにルビが付けられているため、幅広い世代の若者に手に取ってもらえることでしょう。アドラーの教えを基に、自己肯定感を育てることが、どれほど大切なことであるかを再認識させます。
著者の背景と書籍情報
著者、岩井俊憲氏は栃木県生まれの心理学者で、数多くの研修やセミナーを通じてアドラー心理学を普及させてきました。これまでに24万人以上の受講者にその教えを伝え、数多くの著書を発表しています。新刊『自分を信じる勇気』は、彼が10代向けにアドラー心理学をわかりやすくまとめたものです。
書籍はB6変判、232ページで、定価は1,650円(税込)。2025年7月25日(木)に発売予定で、ISBNは978-4-416-62433-3です。
おわりに
若者たちが自己肯定感を持てるようになるための第一歩は、自己理解から始まります。『自分を信じる勇気』は、そんな彼らをサポートする一助となることでしょう。これまでのアドラー心理学の理解を、10代の視点で新たに深めていくチャンスです。
この新しい啓発の書が、多くの10代に届くことを願っています。