SDGsアワード受賞
2022-03-28 16:02:06
抱樸が受賞した北九州SDGs未来都市アワードの秘訣
抱樸が受賞した北九州SDGs未来都市アワードの秘訣
NPO法人抱樸が2021年に「北九州SDGs未来都市アワード」の市民部門で大賞を受賞した。この栄えある賞は、多様な社会的課題に対して持続可能な解決策を提供するために取り組んでいる組織に贈られるもので、抱樸が実施している「空き物件を活用した支援付き住宅」モデルが高く評価された。ここでは、その取り組みの詳細と今後の展望を紹介する。
抱樸の150年近い歴史と支援の理念
抱樸は1988年から福岡県北九州市を拠点に活動を開始し、ホームレスや困窮家庭、障がいを抱える方々など、社会的に困難な状況にある人々に対する支援を行ってきた。現在、その支援対象は幅広く、生活困窮者を含む多くの人々の生活再建を支援するため、27の様々な事業を展開している。
しかし、生活困窮者の住宅確保は依然として難しい問題であり、保証人の不在や家賃に対する不安から、大家さんが部屋を貸すことに対して躊躇するケースも多い。日本全国で約800万戸にのぼる空き家の存在が、この問題をさらに深刻にしている。
支援付き住宅の展開
抱樸は、困窮者が安心して暮らせる住まいを提供するために、具体的な解決策を模索してきた。これが、「空き物件を活用した支援付き住宅」というモデルだ。このモデルでは、まず大家さんから支援団体が一括借り上げを行い、その後、生活保護の最低基準の家賃で生活困窮者に提供する。さらに、賃料と家賃収入の差額分で相談員を雇用し、住人とのコミュニケーションを持つことで、さらなる支援を行う。
この仕組みにより、大家さんは困窮者への賃貸に対するリスクを軽減し、相談員も住人に寄り添った支援が可能になる。これにより、生活再建を希望する方々もサポートを受けながら次のステップへ進むことができる。
新型コロナウイルスの影響とクラウドファンディング
2020年以降、新型コロナウイルスの影響により、さらなる困窮者が増加した。この状況を受けて、抱樸は大規模なクラウドファンディングを実施し、全国からの支援を募った。結果として、1万人以上の方々から1億円を超える寄付が集まったことで、事業の拡大が可能になり、全国に約180室の支援付き住宅を提供できるようになった。
受賞の喜びと今後の展望
2022年3月28日、北九州市役所で行われた授賞式には、抱樸の代表者が参加し、北橋市長から賞状を授与された。市長はこの取り組みが住まいの問題と空き家問題という複合的な課題に対して真摯に取り組んでいる点を評価し、社会全体への広がりを期待すると述べた。
抱樸の森松専務理事は、今後も「地域で暮らし続けたい」という思いを持った方々を支え、より多くの人に「住まいの支援」を届けるために企業や団体との連携を深めていくことを誓った。
抱樸の取り組みは、生活に困窮している方々を地域で支える新たなモデルとして、北九州から全国へと広がりを見せることが期待されている。社会全体で困窮者を支える体制を整えることは、私たちが目指す持続可能な社会の実現への大きな一歩となるだろう。
会社情報
- 会社名
-
NPO法人 抱樸
- 住所
- 福岡県北九州市八幡東区荒生田2−1−32
- 電話番号
-
093-653-0779