電通、AIによるマグロ品質判定システムで東南アジアの水産業を支援
株式会社電通は、インドネシアにおいて「TUNA SCOPE」というマグロ品質判定AIを活用し、現地の水産業におけるSDGs事業を推進することを発表しました。この取り組みは独立行政法人国際協力機構(JICA)による「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採用されました。このプロジェクトによって、安定したマグロの輸出価格の確保と高付加価値化を目指します。
インドネシアは世界的に見てもマグロの水揚げが盛んな国です。しかし、品質管理の面で多くの課題を抱えています。具体的には、検品のノウハウが包含されておらず、検品者の技術や経験に基づき判断基準が異なるために、品質のばらつきが生じています。これにより、結果的に輸出時に適正な価格が決定されていないのが現状です。
電通の「TUNA SCOPE」の導入は、こうした品質管理の課題を解決するための重要なステップです。「TUNA SCOPE」は、マグロの尾の断面画像と、豊富な職人の経験則データを基に爆発的な精度で品質判定を行うAI技術です。このシステムによって、全自動で信頼性の高い検品プロセスが実現されます。
このプロジェクトの目的は、AIによる品質証明を通じて、インドネシア産マグロの交易が売り手と買い手の双方にとって公正な価格で実現されることです。さらに、品質の向上による高付加価値化も図り、現地の水産業従事者に利益をもたらそうとしています。こうした取り組みが実現することで、インドネシアの水産業の均衡的かつ持続的な成長が期待されます。
今後、電通は東南アジア全体に焦点を当て、マグロ漁業者に対する様々な課題解決に向けて、「TUNA SCOPE」の導入に努めていく予定です。このシステムにより、地域の漁業が持続可能な発展を遂げる手助けを行うことが狙いです。これからも現地の水産業に向けた革新的なアプローチで、持続可能なビジネスモデルの構築に貢献していきます。
これまで漠然とした伝統的手法で行われてきたマグロの品質検査を、AI技術によるデジタルな評価基準で塗り替えていくこの取り組みは、インドネシアの水産業の未来を切り開く重要なカギとなるでしょう。