PZT圧電特性の解明
2024-09-05 11:13:29

PZT圧電セラミックスの圧電特性解明の新発見がもたらす未来への道筋

PZT圧電セラミックスの圧電特性解明の新発見がもたらす未来への道筋



最近、静岡大学大学院総合科学技術研究科の符徳勝教授とその研究チームが、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)圧電セラミックスの本質的な圧電特性を解明しました。この発見は、1952年からの未解決の課題に新たな光をもたらし、圧電材料分野における革新的な発展の可能性を示唆しています。

研究の背景と重要性



PZT圧電セラミックスは医療や自動車、センサー技術など多岐にわたる分野で利用されています。具体的には、胎児や心臓病の超音波検査、建物の内部劣化診断、さらには超音波洗浄技術などにおいて、その優れた圧電特性が活かされています。ただし、PZTが持つ巨大な圧電応答の正確なメカニズムは、半世紀以上前に報告されて以来、謎のままでした。

この圧電応答が、単結晶由来なのか、それとも周囲のドメイン効果など外的要因によるものなのか、明確な解明がされていなかったため、PZTの研究は進展に苦慮していました。今回の研究成果は、このグレーゾーンを打破するものとされています。

研究成果の詳細



符教授らの研究チームは、MPB(モルフォトロピック相境界)近傍に位置するPZTの圧電特性に注目し、特に正方晶のPZT薄膜を対象としました。実験では、SUS基板の熱膨張による圧縮応力を活用し、c軸方向に配向したPZT薄膜を作製。これにより、本質的な圧電効果を解明することに成功しました。

その結果、MPB組成のPZT単結晶において圧電定数d₃₃が46.3 ± 4.4 pm/Vであることが判明。これは、第一原理計算で予測された50~55 pm/Vとも一致しており、研究成果の信頼性を高めています。また、MPB近傍でのドメイン効果が巨大な圧電応答に重要な役割を果たすことが示唆され、新たな示唆が与えられました。

今後の展望



この発見は、PZT材料の圧電性の理解を深め、圧電薄膜の設計に新たな指針を与えるものであり、次世代のMEMSデバイスやセンサー技術における応用が期待されています。今後はこの知見を基に、さらに高性能の圧電材料の開発が進むとされ、業界全体に革新をもたらすでしょう。

まとめ



静岡大学の研究チームの成果は、PZT圧電セラミックスの研究において新たなマイルストーンとなるでしょう。その応用範囲は広く、今後の研究がどのような技術革新を引き起こすのか、大いに注目されます。すでに成果は、米国の専門誌「ACS Applied Electronic Materials」に発表され、多くの関心を集めています。これからのエレクトロニクス分野の進展において、PZTの重要性はますます高まると期待されています。


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