琴平町の魅力を再発見するための新たな取り組み
香川県の琴平町は、金刀比羅宮の門前町として広く知られ、多くの観光客が訪れる人気のスポットです。しかし、訪れる人々の多くは日帰り客であり、滞在時間が短く、地域内の回遊性も低いという課題を抱えていました。このため、株式会社地方創生は観光庁からの委託を受けて「第2のふるさとプロジェクト」を立ち上げ、地域の魅力をより深く楽しんでもらうための新たな観光の在り方を模索してきました。
第2のふるさとプロジェクトの核となる取り組み
このプロジェクトは、学生や社会人に向けたモニターツアー、地域交通の改善、そして「働く旅」という新たなスタイルの導入といった三本柱で展開されています。
1. モニターツアーの実施
参加者は地域住民との交流や仕事体験を通じて、琴平町の魅力を再発見し再来訪の意欲を高めることが期待されました。特に社会人に焦点を当てたツアーでは、複業マッチングや企業研修などの実践的な要素が取り入れられ、参加者は仕事の視点からも地域に目を向けられるようになりました。
2. 周遊性を高める琴平mobi
観光の利便性を向上させるため、地域交通システム「琴平mobi」が導入されました。このオンデマンド交通は、観光客が町内をスムーズに移動できるよう支援し、観光、宿泊、交通が連携した年間パスの提供も始まりました。これにより、地域を自主的に再訪する動機づけがなされました。
3. 働くことで地域に関わる
地域の事業者と連携した「働く旅」の概念が提案されました。宿泊費を抑えつつ、観光、アルバイト、地域との協働を推進するこの新たな旅のスタイルは、トラベラーにとって魅力的な選択肢となりました。
成果の評価
これらの取り組みの結果、参加者の再訪意向は90%を超え、実際に地域へのふるさとのような帰属感を感じる人々が増えてきました。また、プロジェクトを通じて地域就労や複数回来訪の事例も見受けられ、地域の活性化に向けた新たなモデルが形成されつつあります。
観光白書掲載の意義
今回のプロジェクトの成果が秀逸の事例として令和7年度の『観光白書』に掲載されることになりました。これは観光庁による公式の評価であり、全国の自治体や観光事業者にとって琴平町の取り組みがモデルケースとして注目される結果を意味します。
今後の展望
株式会社地方創生は、今後も都市と地域、企業と人、人とまちを結ぶことができる交流の仕組みづくりに努め、持続可能な観光の在り方を探求していく所存です。地域の特徴を生かした新たな観光体験が、他の地域にも波及していくことを期待しています。その第一歩を踏み出した琴平町のプロジェクトは、類似の事例を生み出す契機となるでしょう。