フリーランス法施行から約1年の調査結果
フリーランス法の施行から約1年が経過しました。この間に、発注者と受注者の間でどのような変化があったのでしょうか。株式会社freeeが実施した調査をもとに、実態を掘り下げてみます。
アンケート調査の概要
freeeは、2024年11月に開始されたフリーランス法と2026年1月1日に施行される中小受託取引適正化法(取適法)の対応状況についてアンケートを実施しました。この調査は2025年8月21日から29日にかけて行われ、622名の個人事業主や法人が回答しました。
フリーランス法への対応状況
調査結果から、フリーランス法に対応しているとの自己評価は発注者側で58.7%とされています。一方受注者は69.5%が法対応を認識しており、発注者側の自己評価と受注者側の認識には大きなギャップがあることがわかります。この結果は、法対応が実施されているにもかかわらず、その実態が正確に伝わっていないことを示しています。
業務量の変化
フリーランス法施行によって業務量が増加したと感じる発注者は47%に上りますが、同様に業務量がコントロールできていると感じている発注者も47.8%おり、企業の業務実態は二極化しているようです。この結果から、法施行がもたらした業務環境の変化は明確であるものの、その影響は一様ではないと考えられます。
法制度の見直し
また、フリーランス法により、発注者は社内の取引ルールの見直しを進める機会を得ています。具体的には、口頭だけでの発注作業から、正式な契約の締結や業務の詳細確認が増加しているとの結果が出ています。これは、フリーランスとの契約内容がより透明になり、信頼性が高まる方向に働いています。
受注者の意識変化
受注者側でも、取引先の法対応についての認識が高まり、請求書や契約内容の見直しが進んでいます。またトラブルがあった際の相談先やリサーチを行うなど、自己防衛の意識も高まっていることが見受けられます。受注者は、取引先との関係構築においてより強い意識を持つようになっています。
取適法への意識
取適法についても調査が行われ、認知度は58.2%と半数以上が何らかの形で知識を持つことが判明しました。受注者側においては75.5%が対応を予定しているとのことで、今後の動向に注目です。一方、発注者側では58.2%が対応を予定していますが、より多くの規制が適用されるためか、「対応予定がない」との回答も少なくありません。
持続的な環境改善に向けて
freeeの業務委託管理サービスは、これらの法令に対応し、無自覚な法令違反を回避するのを目指しています。安心安全な取引の実現をサポートすることは、フリーランスと発注者の両者にとって不可欠です。
さらに、freeeは10月21、23、27日にオンラインセミナーを開催し、実態と対応状況についての解説が行われます。これに参加することで、より深い知識を得る貴重な機会となるでしょう。
フリーランス法施行からの1年は、法制度の見直しだけでなく、業務の運営や取引のあり方に新たな視点を提供しました。この動きを受けて、今後もフリーランス及び発注者の双方にとって良好な関係が築かれることを願っています。