クラフト醸造酒の未来を築く
福岡県にある株式会社天郷醸造所は、2025年12月3日に新たな取り組みとしてフラグシップクラフト醸造酒「在る宵」にRFID技術を導入すると発表しました。この技術は、単に生産性を向上させるためのものではありません。「造り手」と「飲み手」をつなぐ新たなデジタルの架け橋として機能します。
RFID技術の導入
RFID(NFC+RAINデュアル周波数対応)チップ「EM4425 V12」が搭載された「在る宵」は、スマートフォンをボトルキャップやラベルにかざすことで、様々な体験が可能になります。これにより、顧客はただの嗜好品を超え、息をのむような体験を楽しむことができるようになるのです。
新たな体験内容
1.
開封検知と真正性の証明 - ボトルが未開封かどうかを即時に確認できます。
2.
造り手のストーリー - 醸造家の哲学や原料の由来をデジタル上で共有。
3.
開封後のエンゲージメント - テイスティングノートや料理のペアリング提案が可能に。
4.
DPP(デジタル・プロダクト・パスポート)対応 - 国際的なトレーサビリティ基準に準拠。
クラフト醸造酒は、もはや単なる飲み物ではなく、「人・土地・物語」を体験するデジタルアート作品として進化しています。
共同プロジェクトの各社の役割
このプロジェクトは、天郷醸造所をはじめ、様々な企業の協力によって進められています。EM MicroelectronicはNFCとRAIN両対応のRFIDチップを開発し、株式会社大和コンピューターはデータの統合を行います。また、RFiD plus Oneは、酒造業界に特化したDXモデルを推進しています。
| 企業名 | 主な役割 |
|---|
| ----- | ----- |
| 天郷醸造所 | RFID技術を導入しモデル構築 |
| EM Microelectronic | RFIDチップを供給 |
| 株式会社大和コンピュータ | データ統合のクラウド基盤構築 |
| RFiD plus One | DXモデルを推進 |
代表者のコメント
代表取締役の中山雄介氏は、「クラフト醸造は、土地・水・人の調和から生まれます。デジタル技術を取り入れることで、その調和をさらに広げ、世界中の飲み手に私たちの想いを届けたい。RFID技術は、伝統と未来を結ぶ架け橋になると信じています」と語ります。
今後の展開
天郷醸造所は、この新たな技術導入を皮切りに、広範な領域へ展開していく計画を立てています。DPP対応データベースの構築や、国内外の酒蔵との技術連携、観光・文化との融合など多岐にわたります。また、IoTセンサータグを用いた輸送温度と保管環境の可視化も視野に入れています。
各社のコメント
- - EM Microelectronic: 「EM4425 V12は製品ライフサイクル全体を通じた安全なデジタルIDの実現を目指します」
- - 株式会社大和コンピューター: 「酒造業界のデータの有効活用を推進します」
- - RFiD plus One: 「地域の職人技とテクノロジーを結びつけることが使命です」
まとめ
このプロジェクトは、日本のクラフト醸造文化とRFID技術によるデジタルアイデンティティの融合を実現し、透明性と持続可能性を確保することを目指しています。伝統に根ざしつつも革新を追求する天郷醸造所の取り組みは、新たなクラフト醸造酒時代の幕開けを告げるものです。