持続可能な未来へ向けた新たな試み
最近、株式会社シンク・ネイチャーと千葉大学が協力して、地球環境保全と人の健康向上を目指す共同研究の契約を結びました。この取り組みは「プラネタリーヘルス」と呼ばれ、生物多様性と人々の健康との関連を探ることで、双方の向上を図る試みです。
プラネタリーヘルスとは?
プラネタリーヘルスという概念は、2015年にロックフェラー財団と国際学術誌『ランセット』によって提言されたもので、「地球の健康が人間の健康に密接に結びついている」という考え方に基づいています。この考えは、地球環境の維持が人類の健康や生活の質に寄与するとする前提に立っており、政治、経済、社会のあり方を見直し、最良の健康と公正を実現しようとするものです。
たとえば、気候変動に伴う温暖化が進行すると、熱中症や感染症のリスクが高まり、自然環境の破壊によって食料の生産が不安定になる可能性があります。プラネタリーヘルスの視点では、地球環境と人間の健康を分けることなく、環境問題を解決することが人類の未来を守る一手となると考えています。
共同研究の概要
今回の研究では、千葉大学が保有する健康・ヘルスケア関連のデータと、シンク・ネイチャーが持つ高解像度の生物多様性データを組み合わせ、全国23の市町村を対象に調査を行います。この研究により、地域の生物多様性(植物や動物の種類など)と人々の健康やウェルビーイングを関連づけることを目指しています。
千葉大学からは、空間デザインラボの花里真道准教授と吉田紘明特任助教が研究の中心となり、シンク・ネイチャーはデータの提供と分析支援を行います。この研究は、生物多様性と人の健康の関連性を明らかにし、持続可能な地域づくりに重要な役割を果たすことが期待されています。
シンク・ネイチャーについて
シンク・ネイチャーは、沖縄県に本社を持つスタートアップ企業で、生物多様性に関する豊富な知識とデータを持っています。自然史の研究やリモートセンシング技術を駆使して、生態系のデータをビッグデータとして解析し、AIを用いた予測やシナリオ分析を実施しています。これにより、生物多様性の保護と持続可能な利用をサポートしています。
J-BMPプロジェクトの重要性
さらに、シンク・ネイチャーは2020年に始まった「Japan Biodiversity Mapping Project(J-BMP)」にも取り組んでいます。このプロジェクトでは、日本全国の生物分布を可視化し、その価値を数値化することで、各地域の生物多様性の重要性を明確に示すことを目指しています。2024年には、J-BMPに関する内容がNHKで放映される予定であり、その注目度はますます高まっています。
まとめ
シンク・ネイチャーと千葉大学の連携による「プラネタリーヘルス」の研究は、生物多様性と人の健康という二つの重要なテーマを結びつけ、持続可能な未来を創造するための重要なステップです。今後、この研究から得られる知見が、地域づくりや政策形成にどう活かされるのか、引き続き注目です。