持続可能な都市化に向けた国際連携強化:世界都市フォーラムでの日本の取り組み
持続可能な都市化に向けた国際連携強化:世界都市フォーラムでの日本の取り組み
2024年11月、エジプト・カイロで開催された第12回世界都市フォーラムに、国土交通省が参加しました。本フォーラムは、国連ハビタット主催の世界最大級の都市に関する国際会議であり、世界各国から政府関係者、自治体職員、企業関係者、研究者など37,000人以上(オンライン参加者を含む)が参加し、持続可能な都市開発に向けた活発な議論が交わされました。
国土交通省の取り組み
国土交通省は、フォーラムにおいて複数の重要な役割を果たしました。まず、国土・地域計画の策定・推進支援プラットフォーム(Spatial Planning Platform、以下「SPP」)を活用したネットワーキングイベントを開催。SPPは、各国政府の国土計画策定を支援するプラットフォームとして、経験や知見の共有を促進しています。イベントには、国連ハビタット福岡本部、ネパール、カンボジア、OECD、世界銀行などの関係者も参加し、国土の均衡ある発展に向けた議論が行われました。藤田大臣官房審議官は、SPPを通じた各国の国土・地域計画策定支援への貢献を表明しました。
さらに、イタリアで開催されたG7都市大臣会合の成果を共有する特別セッションにも参加。持続可能な都市開発におけるデジタルツイン等のデジタル技術活用について議論しました。
また、グローバルサウス諸国を対象とした、公共交通指向型都市開発(Transit-Oriented Development、以下「TOD」)とデジタル技術の活用に関するネットワーキングイベントも開催。タイ、ブラジル、フィリピン、国連ハビタットの担当者らが参加し、TODやデジタル技術の有効性、今後の協力の可能性などが議論されました。日本の取り組みへの高い関心が示されました。
最後に、新たに就任したアナクラウディア・ロスバッハ国連ハビタット事務局長への表敬訪問を行い、今後の日本と国連ハビタットとの連携強化について意見交換を行いました。
フォーラムの意義
今回の世界都市フォーラムは、持続可能な都市化という喫緊の課題に対し、国際社会が連携して取り組むための重要な機会となりました。特に、デジタル技術の活用やTODといった具体的な方策について、各国がそれぞれの経験や知見を共有し、今後の協力体制構築に向けた議論が深まりました。
今後の展望
国土交通省は、世界都市フォーラムでの議論を踏まえ、国連ハビタットを始めとする国際機関や各国政府との連携を強化し、持続可能な都市開発に向けた支援を積極的に推進していく予定です。デジタル技術の活用やTODの推進を通じて、より住みやすく、環境にも配慮した都市づくりに貢献していきます。 今後の具体的な取り組みとしては、SPPの更なる機能強化、技術支援の提供、人材育成などを通して、グローバルサウス諸国を含む途上国の都市開発を支援していくことが考えられます。また、G7都市大臣会合での議論を踏まえ、デジタルツイン技術を活用した都市計画の高度化を促進していくことも重要です。