大型バス横転事故調査報告書公表:下り坂でのエンジンブレーキ使用の重要性を訴える

大型バス横転事故調査報告書公表:下り坂でのエンジンブレーキ使用の重要性を訴える



国土交通省は、令和4年10月13日に静岡県駿東郡小山町で発生した大型貸切バスの横転事故に関する調査報告書を11月15日に公表しました。この事故は、事業用自動車事故調査委員会による特別重要調査の対象となり、その結果、フットブレーキの過信が事故の一因であることが明らかになりました。

報告書では、下り坂での走行において、フットブレーキに頼りすぎる危険性と、エンジンブレーキの積極的な活用がいかに重要であるかが強調されています。事故調査委員会は、運転手のスキル向上のための研修プログラムの充実や、車両の安全装置の改善などを含む、具体的な再発防止策を提言しています。

事故の概要

この事故では、大型貸切バスが下り坂を走行中に横転し、乗客に怪我人が出ました。事故調査委員会は、現場の状況やバスの運行記録、運転手の証言などを詳細に分析。その結果、運転手がフットブレーキに頼りすぎたこと、そして、エンジンブレーキを適切に使用しなかったことが、事故発生の大きな要因であると結論づけました。

フットブレーキ過信の危険性

フットブレーキは、急激な制動力が求められる状況では、ブレーキの過熱によるフェード現象や、タイヤのロックによるスリップの危険性があります。特に下り坂では、車両の重量や勾配の影響で、フットブレーキだけでは十分な制動力を確保することが困難な場合があります。

エンジンブレーキの有効性

これに対し、エンジンブレーキは、車両のエンジンを積極的に利用して減速を行うため、フットブレーキに比べて熱による制動力の低下やタイヤのロックのリスクが低く、安全な減速を可能にします。下り坂での走行においては、エンジンブレーキを適切に使用することで、フットブレーキへの負担を軽減し、事故のリスクを大幅に減らすことができます。

再発防止策

報告書では、事故の再発防止策として、以下の点が提言されています。

運転手に対する徹底的な教育と訓練:下り坂でのエンジンブレーキの適切な使用方法に関する教育を強化し、運転手のスキル向上を図る。
車両側の安全装置の改善:より安全で信頼性の高いブレーキシステムの開発・導入を進める。
* 事故調査委員会の体制強化:より迅速かつ効果的な事故調査を行う体制を構築する。

国土交通省は、この報告書を踏まえ、関係各所と連携して再発防止策の具体的な実施を進めていくとしています。バス事業者や運転手は、この報告書の内容を十分に理解し、安全運転に努めることが求められます。また、利用者側も、バス会社の安全対策への取り組みや、運転手の安全運転への意識について関心を高めることが重要です。

今後の展望

今回の事故を教訓に、事業用自動車の安全運転に関する意識改革が進むことが期待されます。国土交通省は、今後も事故調査を継続し、安全対策の強化に努めるとしており、国民全体の安全意識の向上も必要です。この報告書が、バス事故の再発防止に大きく貢献することを願っています。

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