大阪・関西万博における心理学的アプローチの新たな試み
2025年10月11日、大阪・関西万博会場で行われた「いのち会議」では、いのちを守るための取り組みが発表されました。この会議では「いのち宣言」とともに、「103のアクションプラン集」が披露され、その中には心理学的アプローチを用いたトラウマ解消と潜在能力の活性化が含まれています。特に心理的なサポートが必要とされる現代において、この取り組みの重要性は高まっています。
潜在能力の活性化に向けた心理学的アプローチ
研究での発見や発明は、しばしば考えるだけでは実現できません。研究者は、通常は挑戦が難しい、あるいは考えさせられるテーマに取り組むため、モチベーションを保つことが大切です。しかし、挑戦することへの不安や自己否定感があると、次第に行動が制限されてしまいます。反対に、自分にできるという自信があれば、個々の潜在能力を最大限に発揮できる可能性があります。
一方で、メンタルヘルスの維持や強化がなければ、その潜在能力を引き出すことは難しいです。特にトラウマは、自己否定感を引き起こす原因となることがあります。このため、トラウマ解消のための心理的アプローチが求められているのです。
AIカウンセリングとメンタルヘルス
トラウマを克服する方法の一つとして、AIを利用したカウンセリングアプローチがあります。過去の辛い経験や心の傷を意識的に乗り越えることができるように、心理的な介入がなければ、ただ負荷をかけるだけでは、メンタルが強化されるわけではありません。トラウマを知らずに重い負荷に挑戦すると、逆効果になることもあります。
日常生活で受ける軽い出来事がトラウマになり得ることを考慮すると、専門的なサポートがいかに重要であるかが分かります。特に、幼少期に経験した些細な出来事が、子どもにとって大きな影響を持つことがあります。親が善意で注意するつもりであったとしても、子どもは自己否定的に受け取ることがあります。
大阪大学のイニシアチブ
大阪大学の工学部に設置された「レジリエンスサポート&トレーニングセンター」では、こうした心理的アプローチによるトラウマ解消のためのカウンセリングを提供しています。学生や教職員が利用し、心理的な支援を受けることで、自信を持ち、困難へと立ち向かう力を育んでいます。
実際の事例として、自信を失っていた研究者がカウンセリングを受けた結果、難題に対しても積極的に挑戦できるようになったことや、心の傷により通学が困難であった学生が、周囲からの勧めでセンターに通ううちに不登校を克服したケースが多数報告されています。
このようなトラウマ解消におけるカウンセリングの効果としては、自己肯定感の向上やコミュニケーション能力の改善が挙げられます。これによって、個々が本来持つ能力を最大限に発揮することができ、より多くのイノベーションが生まれることにつながるでしょう。
今後の展望
大阪大学は2024年度より、AIを用いてカウンセリング技術の高度化を図るプロジェクトを開始します。このプロジェクトの中で、カウンセリング場面を分析し、さまざまな生理データを取得し、トラウマ解消のメカニズムを解明することを目指します。AIによるカウンセリングが持つ可能性を探り、さらなる心理的ケアの発展を図る計画です。
現代社会の複雑なメンタルヘルスの課題に応えるために、「いのち会議」とAIカウンセリングに関する取り組みが深く結びつくことで、革新的な解決策が生まれ、新しい可能性が広がることが期待されています。是非、心理学的アプローチによるサポートの充実を目指していきましょう。
お問い合わせ先
いのち会議事務局、大阪大学 社会ソリューションイニシアティブ(SSI)特任助教(常勤) 宮﨑 貴芳 TEL:06-6105-6183 E-mail:
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