FATFが暗号資産に関する基準実施状況の報告書を公表!グローバルな進捗状況や新たなリスクに注目

金融活動作業部会(FATF)は、2023年7月9日に「暗号資産:FATF基準の実施状況についての報告書」を公表しました。この報告書は、トラベルルールを含むFATF基準の実施に関する世界的な進捗状況、基準の実施促進に向けた取り組み、北朝鮮による不正な暗号資産関連活動、DeFiやアンホステッドウォレットを含むP2P取引など、新たなリスクについて詳しく解説しています。

本報告書は、FATFの暗号資産コンタクト・グループ(VACG)が作成した5度目の年次モニタリング報告書となります。日本の金融庁は、VACGの共同議長国として、この報告書のとりまとめに貢献しました。

FATFは、1989年のアルシュ・サミット経済宣言を受けて設立された、資金洗浄対策の国際協調を推進するための多国間の枠組みです。2001年の米国同時多発テロ事件を機に、テロ資金供与対策にも取り組んでいます。G7を含む38カ国・地域、2国際機関がメンバーです。

FATFは、暗号資産関連の犯罪や不正行為を防ぐために、2019年に暗号資産に関する新しい基準を導入しました。この基準は、暗号資産サービス・プロバイダー(VASP)に対して、顧客の身元確認や取引の記録、疑わしい取引の報告などを義務付けています。

今回の報告書では、これらの基準の実施状況が詳細に分析されています。報告書によると、多くの国でFATF基準の実施が進んでいる一方で、まだ課題も多く、さらなる取り組みが必要とされています。

特に、北朝鮮による不正な暗号資産関連活動や、DeFiやアンホステッドウォレットなど新たな技術の台頭により、犯罪者はより巧妙に資金洗浄やテロ資金供与を行うようになっています。そのため、FATFは、VASPに対して、これらの新たなリスクへの対応を求めています。

金融庁は、FATF基準の実施を促進し、日本の金融システムの安定と健全性を維持するために、引き続き積極的に取り組んでいく方針です。

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