株式会社日本総合研究所(日本総研)は、パーソナルデータの管理に関する新たな技術を発表しました。特に、生成AIを用いたパーソナライズされたアドバイスを安全に提供する手法に焦点を当てた論文が、国際学会「The Web Conference 2025」に採択されました。この研究は、シドニーで行われる同会議において発表される予定です。
日本総研の先端技術ラボに所属する渡邊大喜氏と打越元信氏が手がけた論文「Generating Privacy-Preserving Personalized Advice with Zero-Knowledge Proofs and LLMs」は、特に金融や医療などの機微なデータを扱う分野での応用が見込まれています。アドバイスを生成するには豊富なパーソナルデータが必要ですが、それに伴う漏洩リスクが問題視されています。そのため、企業が保有するデータについては、必要最低限の情報に絞る傾向が強まっています。
本論文の提案する技術は、ゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof)を利用することで、個人のパーソナルデータを直接活用することなく、抽象的な「個人の特性」を推論し、その結果のみをLLMサービスに送信するものです。この手法により、詳細データを保持することなく、パーソナルデータの保護と活用を同時に実現できます。
これまでゼロ知識証明は主に暗号資産の分野で使用されてきましたが、その一般的な応用は十分に検証されていない状況でした。しかし、日本総研の研究により、この技術が実用的であることが示され、今後の可能性を広げることが期待されています。
また、論文では「個人の特性」を用いたアドバイスが、一貫した理由とともに生成されるプロンプト手法についても検討されています。この技術を活用することで、金融や医療分野でのデータ管理が大幅に負担軽減されるでしょう。
将来的には、資産や購買データから導き出された個人特性をもとにした運用相談AIや、医療データを活用したヘルスケア相談AIなど、多様なサービスが展開される可能性があります。これによって、企業や組織が協力しながらデータを活用する際の最小化が実現し、同時に漏洩リスクも抑えることが期待されます。
株式会社日本総研は、SMBCグループの一員として、技術の動向を把握し、先端技術を活用したビジネスの研究に励んでいます。データ保護の新時代を迎えつつある今、LLMとゼロ知識証明の組み合わせは、生成AIのさらなる発展に寄与することでしょう。
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