日本とロシアの学術交流を促進する生成AIセミナーの意義とは
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)は、2025年11月26日にロシア科学アカデミー社会科学情報研究所(INION)との共同で「生成AIと行政/外交」についてのオンラインセミナーを開催しました。このセミナーは約90分間にわたり行われ、日露間の厳しい外交環境にもかかわらず、重要な学術的対話の場となりました。
学術交流の背景と意義
ウクライナ戦争以降、日露両国間の交流は著しく制限されています。そのため、学術交流が国境を越えたグローバルな課題に対してどれだけ重要であるかが際立っています。IISIAは、その意義を強く感じたことから、INION側に提案し、このセミナーを実現しました。お互いにとって意義深い対話を行うことで、共通の課題についての理解を深めることができたと考えています。
INIONは1969年に設立され、社会科学及び人文学の研究を行う中心的な機関です。約500の研究機関が属するロシア科学アカデミーの中でも、INIONはその代表的な存在であり、広い範囲での研究が進められています。
生成AIとその影響
今私たちは、2000年代に急速に進化した人工知能(AI)の影響が国境を越えて広がっている状況にいます。しかし、ロシアにおける生成AIに関する先行研究は少なく、その背景にはAIが軍事技術と密接に関わっていることが一因とされています。この状況を打破し、ロシアにおける生成AIの議論や使用状況を探ることが、将来の研究や国際的な理解に繋がると考えられます。
セミナーの内容
セミナーは、両研究所の合意に基づいてクローズド型で実施されました。IISIAからは日本政府におけるAIおよび生成AIに関する現状と今後の見通しが述べられ、INIONからはロシアのAI政策の最新情報が提供されました。特に行政や外交、社会科学分野における生成AIの実装に関する課題についても議論が交わされました。
議論は和やかな雰囲気の中で行われ、多角的な視点から相互に質問が交わされました。AIの狭義の話題だけでなく、関連する幅広い問題についても意見交換が行われ、理解を深める貴重な機会となりました。
今後の展望
このセミナーを受けて、両研究所は今後の学術交流を継続することで合意しました。2026年3月には第2回セミナーが開催される予定で、さらに多くの研究者が参加できるような形を検討しています。特にINION側は、次回は他の研究所からも研究者を招くことを希望しているとのことです。
結びに
今回のオンラインセミナーは、日露の研究者たちが、今後の生成AIやその応用に関する重要な知見を共有する第一歩となりました。今後の展開が期待される中で、学術交流を通じた新たな橋渡しが行われることを願っています。私は、学術は国境を越えた重要なコミュニケーションツールであると強く信じています。このような活動が、両国間の信頼構築や理解促進に寄与することを期待してやみません。