新たな顧客体験を提供するJ:COMの生成AI活用
JCOM株式会社(以下、J:COM)が、顧客対応の品質向上を目的として生成AIをカスタマーセンターに実装しました。この取り組みは顧客体験を進化させる重要なステップとなるでしょう。今回、国内14拠点におけるカスタマーセンターおよびマーケティング施策の成果が発表されました。
生成AIの導入とその効果
このプロジェクトでは、Googleの生成AIモデルであるGeminiが活用されています。これによって、全国の電話応対を通じて顧客の意図を体系化することが可能となりました。従来150種類だったインテントの分類が、驚くことに3000種類にまで増加。その結果、顧客理解が飛躍的に向上しました。
加えて、生成AIは通話内容の要約に利用され、月間で約1,500時間の作業削減を実現。オペレーターが顧客のニーズにより集中できる環境が整い、待ち時間の改善にもつながっています。さらに、多様な会話解析や感情分析を実施することで、顧客のニーズやストレスポイントをより深く把握し、個別対応が可能となるのです。
新しい評価指標の導入
従来の顧客評価はNPS(ネット・プロモーター・スコア)に依存していましたが、この方法では顧客の本音を把握するのが困難でした。しかし、AIを用いることで、顧客が何を重視しているのかを見える化することができ、ユーザーの真の声を反映させた評価が実現します。AIの活用により、分析対象が従来の数パーセントから全ての応対へと広がり、顧客理解が飛躍的にアップしました。この情報はオペレーター教育や業務改善へと活かされ、サービスの質向上に寄与します。
AI Center of Excellenceの設立
J:COMは2024年度に「AI-CoE(AI Center of Excellence)」という新しい部門を立ち上げ、AIの活用をさらに推進していく方針です。この部門はカスタマーセンターやマーケティングだけでなく、2025年度には映像関連サービスへのAI実装も検討されています。企業としてのデジタルトランスフォーメーションを進めていく中で、顧客接点における新しい価値を提供することが目指されています。
期待される成果
J:COMによる生成AIの導入により、顧客とのコミュニケーションが劇的に変わると期待されています。生成AIは、1日あたりなんと5000件の通話データを自動で分析し、オペレーターがより効率的に業務を行えるようにサポートします。また、履歴入力やケース処理の自動化にも取り組むことで、業務の生産性を大幅に高めることが狙いです。今後、2027年度までに平均処理時間を40%削減することが目標とされています。
何より重要なのは、入電時と切電時の感情分析を通じて「ネガティブ」な体験を「ポジティブ」に転換する率を把握し、そのデータを基に具体的な改善策を打ち出すことです。顧客のペインポイントをより深く理解し、的確な対応が図れるよう整備が進んでいます。全体として、J:COMの取り組みは今後の顧客サービス運営に新たな一歩を示しています。
まとめ
J:COMの生成AI活用は、カスタマーセンターの形を変え、顧客体験を向上させる可能性を秘めています。AIと人が協力することこそが、これからの顧客対応の理想像と言えるでしょう。これからも、お客様一人ひとりに心地よいパーソナライズされた体験を提供すべく、さらなる取り組みが期待されます。