岐阜県山県市が抱える長良川鵜飼の存続危機と地方創生の未来
岐阜県山県市で行われたトークショーは、地方創生の未来と伝統文化の存続に関する重要なテーマが語られ、参加者に衝撃を与えた。登壇したのは、岐阜県出身の写真家小林淳氏と地方創生サウナプロデューサーのユーコンカワイ氏。彼らは、長良川鵜飼という千年以上の歴史を持つ文化行事が、気候変動の影響で存続の危機にさらされている現状について語った。
株式会社ポニーキャニオンと大垣共立銀行が連携し、2024年度から山県市のPR活動を行う中で、特に今年度は地域のキーマンを巻き込んだコラボレーションが進行中だ。この取り組みは、地域の魅力を再発見し、持続可能な地域活性化を目指すものである。
地球温暖化が長良川鵜飼に影響を与える!?
トークショーでユーコンカワイ氏は、「現状のままだと長良川鵜飼が数年以内に消えてしまう可能性がある」と危機感を募らせた。彼は、長良川の水温が年々上昇していることが、鮎の生息環境を脆弱にし、その結果として鵜飼の存続にも影響を及ぼしていると説明。特に、岐阜県内を流れる円原川の冷たい水が、長良川の水温上昇を抑える役割を担っていることが紹介されたが、その円原川も過去の植林や林業衰退によって水量が減少しているという。
このような状況を受けて、カワイ氏は「地域の人々が協力し、コミュニケーションを重ねることで持続可能な観光業を構築し、経済効果をもたらす取り組みが必要だ」と語った。オーバーツーリズムのマナー改善へ向けた地域の努力の重要性が強調された。
円原川の不思議な魅力
円原川は、特異な水質を誇り、地下水が湧き出る「伏流水」に由来し、綺麗で冷たい水が流れる。そのため、「中硬水」として名古屋などの都市圏からアクセスが良いにもかかわらず、豊かな自然環境が保たれている。カワイ氏は、「この川が持つ特性は、世界に誇れる場所」と自信を持って語った。
また、彼が開発したリトリートサウナ施設「THE WATERS -Retreat Terrace Enbara-」も注目を集めている。この施設では、自然と調和した体験を提供し、訪れる人々に精神的な癒やしを与える。
写真がもたらす地域の魅力の発信
小林氏は、SNSを通じて地域の魅力を広める活動にも力を入れている。彼は写真を用いて、岐阜の美しい風景を再発見しながら、多くの人に地域に訪れてもらう効果を期待している。しかし、これには注意も必要だ。マナーの悪い訪問者もいるため、地域との関係を築く工夫が求められる。
地方創生の未来を考える
岐阜県山県市の今後の取り組みとして、ポニーキャニオンと大垣共立銀行は「山県co-labo」と名付けたパートナーシップを通じて、地域活性化を推進する計画を進めている。地方創生の最前線で活動するキーマンたちの想いが織り交ぜられた彼らの活動は、地域の未来に大きな影響を与えるだろう。地域の人々、訪問者、そしてマスメディアが手を取り合って、長良川鵜飼の伝統を守るための道を切り拓いていくことが求められる。持続可能な未来に向けたきっかけは、まさに今、ここにある。