慶應義塾大学と株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーは、経鼻内視鏡手術の技能習得を目的としたシミュレーションモデルの研究を行い、その成果を第31回日本神経内視鏡学会学術集会で発表しました。ここでは、共同研究の内容やその意義について詳しくご紹介します。
共同研究の背景
経鼻内視鏡手術は、下垂体の病変に幅広く使用される高難度の手術です。手術時には、解剖学的に重要な構造物を慎重に扱う必要があり、特に技術の向上は医療従事者にとって重要な課題となっています。今回は、これを解決するために、シミュレーションモデルの開発を目指しました。
シミュレーションモデルの開発
共同研究では、手術における重要な構造物、すなわち頭蓋底の骨組織、神経、血管、脳組織を忠実に再現したシミュレーションモデルが開発されました。このモデルは、医師が安全かつ確実に手術を行うためのトレーニングツールとして非常に実用的です。実際の手術に近い状況を提供することで、医師に必要な技術を手に入れる手助けをします。
手術技能習得効果の検証
同モデルを利用したトレーニングの効果は、定量的に評価されました。修練を通じて、手術技能の習得が明確に確認され、実際の手術における技術向上の効果が期待されています。特に縫合操作の技術向上に寄与することが証明されました。これにより、若手医師の手術スキルが向上し、患者に提供できる医療の質の向上が見込まれています。
研究のプレゼンテーション
発表は、足利赤十字病院脳神経外科の高原健人医師によって行われ、研究の成果の詳細が説明されました。高原医師は、経鼻内視鏡手術の特性を踏まえ、シミュレーションを通じた効率的なトレーニングの必要性を強調しました。
KEZLEXの活用
ジャパン・メディカル・カンパニーの医療用精密立体模型「KEZLEX」は、オーダーメイドで製作可能で、人体の構造を忠実に再現する技術が評価されています。このシミュレーションモデルも、KEZLEXを基にしたもので、医療の現場で実際の手術に近い状況でのトレーニングを可能としました。
今後の展望
この共同研究の成果は、経鼻内視鏡手術を行う医師たちの技術習得をサポートし、最終的には患者にとってもメリットがある医療の質向上につながることが期待されています。今後も、技術の改善と新たな製品の開発に力を入れ、医療現場に貢献していく姿勢が示されています。