建築や不動産の空間プロデュースからソリューションデザインを手掛けるADDReC株式会社と、アパートメントホテル運営を行うカソク株式会社は、包括的な業務提携を発表しました。両社は、それぞれの強みを活かしたホテル開発で、首都圏の旅市場の開拓と地域活性化を目指します。
ADDReCは、空間プロデュースを通じて、コンセプト企画、ブランディングなど総合的なデザインを提供してきました。空間における体験価値やコミュニティ価値を創造し、社会課題解決に貢献するソリューションデザインや事業開発、オープンイノベーションなどを統合的に提供しています。また、コロナ禍以降の観光分野における新産業創出にも注力しています。
一方、カソクは、土地仕入れからホテル運営、アセット売買まで一貫したサービスを提供し、全国11都道府県で36棟の旅館業施設を運営しています。
今回の提携では、ADDReCの空間デザインとカソクのホテル運営ノウハウを融合することで、ビジネスデザインのノウハウやネットワークを掛け合わせ、持続可能な収益構造を持つホテルプロジェクトを開発していきます。地域性、公益性、社会性の三つの視点を重視し、地域コミュニティと共に成長するホテルを創造することで、社会課題解決にも積極的に取り組む姿勢を示しています。
近年、観光業とビジネス旅行の増加により、宿泊業界は成長を続けています。新しい旅市場の創出は、訪れる地域経済にも大きな影響を与え、地方創生への一助になると期待されています。
Airbnbがもたらした経済波及効果は年間で4,055億円、約41,500人の雇用機会を創出したとされており、日本の観光業全体に大きな影響を与えています。Airbnbの利用者は、宿泊費だけでなく、飲食や小売など周辺商品・サービスにも約3,756億円を支出しており、2023年の日本の観光業界における総支出の約1.4%を占めているというデータもあります。
また、訪日客の満足度とリピーター率は共に高く、今後全国の地域経済に大きな影響を与えていくことは明らかです。訪日外客数は2023年10月以降、2019年の水準を上回っており、2024年以降も増加が見込まれています。日本政府は2030年の訪日外国人旅行者数6千万人、消費額15兆円の達成を目指しています。
旅の価値観はここ数年で大きく変化しており、Z世代を中心に、グループ旅&長期滞在、複数地域への訪問、人との出会いを求める傾向が見られます。
ADDReCとカソクは、こうした市場の動向やニーズに対応し、ブランディングから企画、開発、運営までワンストップで対応可能な開発体制を構築しました。首都圏ではアパートメントホテルを含む都市型ホテルビジネスを展開しインバウンド市場を取り込み、地方都市では地域活性化に貢献するホテル開発のデザイン手法確立に取り組みます。
福島大我(ADDReC株式会社 代表取締役)は、「インバウンド需要拡大によって訪日客消費は年換算で7.2兆円を突破する見込みです。この需要をさらに伸ばしていくためには、ゲストが何度でも訪れたくなる『居場所』の開発が急務です。この『居場所』のあり方をアップデートし、ローカライズすることで、人手不足や地域経済の衰退、外国人移住者との共生といった日本の大きな社会課題を解決する糸口を見出せると確信しています。ADDReCの空間プロデュースの知見と、カソクのホテルオペレーションの知見を掛け合わせることで、さまざまな地域、さまざまな企業との連携を目指していきます。」とコメントしています。
新井恵介(カソク株式会社 代表取締役)は、「今回の提携により、カソクは、より一層柔軟で持続可能なホテル開発と運営を目指します。当社は地域の歴史や文化を尊重しつつ、地元のコミュニティと共に成長することで、地域経済に貢献するホテルの開発を行います。また、訪れる人々にとって特別な体験を提供し、社会的課題の解決にも積極的に取り組む施設を作り上げて参ります。本提携は、新しい旅市場の創出と地方創生において重要な一歩となると確信しております。」とコメントしています。