カスハラが4割の転職理由に? 企業の対策不足が深刻化するカスハラ問題
8月2日の「ハラスメントフリーの日」に関連し、元警察官による近隣トラブル解決支援サービスを展開する株式会社ヴァンガードスミスが、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)に関する調査結果を発表しました。
調査では、カスハラが従業員の仕事や生活に深刻な影響を与え、4割近くの人が退職や転職を検討するきっかけになっている実態が明らかになりました。
カスハラ被害の実態:相談できずに抱え込む人が多数
調査では、76.4%の人が「カスハラがどのようなものか知っている」と回答しました。しかし、カスハラ被害を受けた際に相談した人はわずか58.3%で、41.7%の人が誰にも相談しなかったという結果が出ています。
相談しなかった理由として最も多かったのは「誰に言っても無駄だと思ったから」という回答で、50.6%に達しました。この結果から、カスハラ被害者は、相談しても解決に至らないと考えていることがわかります。
カスハラは従業員の仕事への意欲を低下させ、人材流出につながる
カスハラは、従業員の仕事や生活に深刻な影響を与えています。調査では、カスハラを受けた従業員の38.5%が出勤が憂鬱になり、37.3%が仕事に対する意欲が減ったと回答しました。
また、カスハラが退職や転職の理由になったことがあるかという質問に対して、15.1%の人が「ある」と回答し、さらに25.6%の人が「転職や退職はしていないが検討したことがある」と回答しました。合計で約4割の人が、カスハラを理由に転職や退職を検討しているか、実際に経験していることが明らかになりました。
さらに、カスハラを受けた経験がある人の約6割が、転職先や仕事選びで同じ職種・業界を選ばないと回答しました。これは、カスハラが従業員にとって大きなトラウマとなり、同じ業界で働くことをためらわせるほどの影響を与えていることを示しています。
企業のカスハラ対策は十分か? 実態と課題
調査によると、多くの企業が相談窓口の設置やカスハラ対応のマニュアル作成などの対策を行っています。しかし、その対策が実際にカスハラの解決につながっているかどうかについては、疑問が残ります。
調査では、勤め先の対応体制がカスハラの解決につながったと回答した人はわずか36.5%で、半数以上の人が「いいえ」または「わからない」と回答しました。企業側の対策が現場で十分に機能していない状況が伺えます。
このような状況から、外部のカスハラ対策サービスへのニーズが高まっていることがわかります。調査では、64.6%の人が外部のカスハラ対策サービスを利用したいと考えていると回答しました。
カスハラ対策サービス「Pサポ+for Business」
株式会社ヴァンガードスミスは、カスハラ対策を強化するサービス「Pサポ+for Business」を提供しています。このサービスは、従業員が顧客や取引先からのカスハラ被害を受けた際に、専門の相談員がアドバイスや対応を行うものです。
「Pサポ+for Business」は、カスハラ被害から従業員を守るだけでなく、企業が抱える人材流出を防ぐ対策としても有効と考えられます。
まとめ
カスハラは、従業員の心身に深刻な影響を与えるだけでなく、企業にとっても人材流出や業績悪化につながる深刻な問題です。企業は、相談窓口の設置やマニュアル作成などの対策に加え、外部の専門サービスを活用するなど、より効果的な対策を講じる必要があります。