沖縄県で初実施されたスポーツ救命ライセンス講習会の意義と成果
公益財団法人日本サッカー協会(JFA)は、全国各地で選手の安全を守るために「スポーツ救命ライセンス講習会」を実施しています。この講習会は、心肺蘇生法(CPR)やAEDの使い方を学び、スポーツ現場での救命対策を目的としています。2017年から始まったこの取り組みは、全国での開催が進む中、沖縄県でも初めてとなる講習会が2023年8月18日に開かれました。特徴的なのは、医師や看護師といった専門の医療従事者が主体となり、実技を通じて現場での対応力を高める点です。
講習会の背景と目的
近年、多くの人々がスポーツに親しむようになり、選手や指導者はその楽しさを享受していますが、同時に運動中の突然死のリスクも高まることが指摘されています。特に、学校管理下での突然死は、およそ43%が運動中または直後に発生しています。このような状況に対処するために、JFAはスポーツ現場における救命処置の重要性を打ち出し、全国で講習会を開催することになりました。
事故や緊急時に適切な応急処置を施すために、正しい知識と思考を備えた人材が必要です。特に沖縄県は、様々なスポーツ活動が盛んなため、地域スポーツ界における安全対策が重要視されています。
沖縄での講習会の実施
沖縄県で開催された講習会には、専門の医師や柔道整復師など13名が参加しました。講義には古家信介先生や福島理文先生などの著名な医療従事者が講師として名を連ね、実技を通じて参加者に重要な知識とスキルを授えました。受講生たちは、搬送法やCPR、AEDの使用法などを学びました。特に搬送実技では、実際の現場に即したシミュレーションが行われ、受講生たちは貴重な体験を得ることができました。
受講者の一人である上原史成さん(FC琉球チームドクター)は、「搬送の実習が特に印象に残りました。普段は患者を搬送する側ですが、逆の立場になることは少ないため、非常に有意義な時間でした」とコメントしています。講習会の最後には筆記試験が行われ、全員が合格し修了証を受け取りました。
講師の見解
講師として参加した浦添総合病院の石塚光太郎先生は、「スポーツ現場の医療従事者は、外傷や熱中症、アナフィラキシーなど、幅広い救急対策について学ぶ機会が必要です。今回の講習会を通じて、少しでも多くの人が救命技能を身につけることができることを願っています」と語ります。
今後の展望
講習会の成功を受けて、今後はさらに多くの地域でこの取り組みを広めていくことが求められます。JFAは、より多くのスポーツ団体や教員が参加し、スポーツ現場の安全を確保するための基盤を築くことを目指しています。その意味でも、沖縄での今回の講習会は意義深いものであり、今後に繋がる重要な一歩となりました。
お問い合わせ先
本講習会の開催希望の団体は、公益財団法人日本サッカー協会の技術部までお問い合わせください。興味を持たれる方は、ぜひ参加を検討してみてください。
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