東京大学が開設する『フュージョンシステム設計学』の概要
日本の核融合エネルギー開発が加速する中、東京大学大学院新領域創成科学研究科は、民間企業8社と共同で特別な社会連携講座『フュージョンシステム設計学』を開設することを発表しました。この講座は、2025年5月1日からスタートし、未来のエネルギー開発に貢献することを目指します。
講座の背景と目的
フュージョンエネルギーの早期実現が求められる現在、世界中で発電技術の競争が進んでいます。日本もこの流れに合わせて、内閣府の「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」に基づき、2030年代に向けた発電実証に取り組んでいます。特に、民間のStarlight Engine社が取り組む『FAST』プロジェクトなどが先駆けとなり、この分野での研究が進展しています。
しかし、技術や学術体系は未だ十分に整備されておらず、核融合システムの開発には、高度な設計知識や新たな技術の確立が必要です。また、次世代人材の育成も重要な課題となっています。
講座の概要
『フュージョンシステム設計学』では、東京大学の江尻晶教授を担当教員に迎え、フュージョンプラントの設計に関する基礎を築くことを目指します。これは、以下のようなテーマを中心に進められます:
- - フュージョンシステムの革新技術の研究
- - フュージョンエネルギーの多様な応用可能性の検討
- - 法規制や標準基準に基づく施設や機器の要件の明確化
- - フュージョンエネルギーの実用化に伴う様々な課題の解決
この講座は大学と民間企業が共同で行い、相互の知見や技術を融合させ、さらなる革新を目指します。
期待される結果
東京大学と関わる民間企業は、産学連携を通じて新たな知識と技術を生成し、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた取り組みを推進していきます。そして、将来的には、この講座を通じて育成された人材が、エネルギー産業の発展に寄与することを期待しています。
江尻教授は、「フュージョンエネルギーは持続可能な社会の実現に向けた重要なカギであり、この講座が社会実装に向けての大きな一歩になることを願っています」とコメントしています。
核融合エネルギーの可能性は大きく、私たちの未来で重要な役割を果たすことが見込まれます。講座の開設は、教育と研究の両面からこの分野に新しい風を吹き込むでしょう。