自動化の未来を切り開く「TTMC」
経済や製造現場に大きな変化をもたらそうとしているのが、アルム株式会社と株式会社スギノマシンが共同開発した新型切削加工機「TTMC」です。この機械は、完全自動化を実現した次世代型の切削加工機として注目されています。
1. 背景と開発の必要性
少子高齢化や熟練した作業員の減少が業界内で深刻な問題となる中、製造業での人手不足が進行しています。この状況を打破するために、アルムは「製造AIと完全自動化」に注力し、切削加工の自動化を目指した「TTMC」の開発に着手。約10年の年月をかけて製品化を果たしました。
一方のスギノマシンは1936年の創業以来、独自技術を駆使した工作機械を開発し続けており、「TTMC」においても自社技術を結集。特に信頼性が求められる切削ユニットには、一貫して自社の同時5軸マシニングセンタ「セルフセンタSC-V30a」を採用しています。
2. 「TTMC」の特徴と機能
「TTMC」は、金属及び樹脂部品の切削加工工程を完全自動化することで、全12工程を自動で遂行します。その中心となるのが、アルムが開発したAIソフトウエア「TTMCブレイン」。このシステムは、CADデータをもとに加工に必要なプログラムを自動生成し、材料や工具のセッティング、心出し、除去領域の測定など、全ての工程を無人で行います。
特に注目すべきは、工具や材料の摩耗状況の記録及び自動発注機能です。この機能により、ユーザーは常に最適な環境で製造を進めることができ、熟練工でなくても複雑な加工が可能となります。
3. 市場投入と今後の展望
現在、「TTMC」は試験機がすでに数社に導入されており、2025年6月には最初の量産機を納入する予定です。製造業界での人手不足を解消する道として、省人化が期待されています。
アルムとスギノマシンは、2030年までに250台を発表し、アメリカやインド市場への展開も視野に入れています。特にスギノマシンの強力な販売網が、将来的な販売促進の大いに寄与することが期待されています。
4. 技術的な進化とその影響
「セルフセンタSC-V30a」は、その名の通り、様々な加工を連続して行える高精度なマシニングセンタです。同時5軸加工が可能であり、複雑な形状の部品に対しても高い精度での加工が実現されます。また、冷却機能を搭載することで熱による変位も制御され、高精度な加工を安定的に提供します。
このような一連の技術革新は、製造業における生産効率を大きく向上させる可能性を秘めています。設置面積あたりの生産性の最大化も実現し、省スペースでの運用が可能になるでしょう。
5. まとめ
アルム株式会社とスギノマシンは、その技術と経験を活かし、次世代の製造現場に革命をもたらそうとしています。今後の展開において、「TTMC」がどのように製造業界を変革していくのか、わくわくする展望です。自動化技術が進化する中で、製造業は新たなステージへと進んでいくことでしょう。