メタバースでのアイデンティティを探る大規模定性調査が開始
スイスの人類学者ミラとVTuber/作家バーチャル美少女ねむによる研究ユニット「Nem x Mila」は、ソーシャルVRユーザーのアイデンティティを深く分析するため、大規模な定性アンケート調査を開始しました。
この調査は、「ソーシャルVRライフスタイル調査」と題し、過去に2回にわたり定量調査を実施してきた「Nem x Mila」にとって、新たな試みとなります。今回の定性調査では、自由記述形式の質問を通して、アバターをデザインする動機や、現実世界とメタバースにおけるアイデンティティの関係性などを掘り下げていきます。
より深い分析を目指し、産業技術総合研究所(産総研)人間拡張研究センター(HARC)の大山潤爾博士が調査のスーパーバイザーとして協力。大山博士は、認知心理学を専門とし、メタバースやサイバーフィジカル社会における「生活」について研究しています。
また、定性調査という回答のハードルが高いことから、メタバース関連のメディアやコミュニティが「公式サポーター」として広く情報を発信し、調査への参加を呼びかけています。
調査の目的と内容
今回の調査は、ソーシャルVRユーザーのアイデンティティについて定性的な理解を深めることを目的としています。調査は、日英バイリンガル対応のGoogleフォームによる公開アンケート方式で行われ、回答時間は約10~20分を想定しています。
調査では、アバターのデザイン、現実世界とメタバースにおけるアイデンティティの関連性、メタバースでのコミュニティ参加など、さまざまな角度から質問が出されます。回答は匿名で行われ、個人情報は一切収集されません。
参加方法と締め切り
調査への参加は、以下の回答フォームから可能です。
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回答フォーム: https://forms.gle/YhuCD6Qcb9Ki16PJ8
回答受付期間は、2024年6月24日から7月12日までです。
レポートの公開
調査結果に基づいたレポートは、無償で公開される予定です。レポートでは、ソーシャルVRユーザーのアイデンティティに関する分析結果や、メタバースにおけるアイデンティティの重要性などが示される予定です。
Nem x Mila とは
Nem x Milaは、ミラとバーチャル美少女ねむが、VTuberやメタバースが人類に与える影響を調査するために結成した研究ユニットです。2023年には国際連合の国際会議「IGF京都2023」で登壇発表を行うなど、積極的に活動を行っています。
今回の調査を通して、Nem x Milaは、メタバースにおけるアイデンティティという重要なテーマについて、より深く理解を進め、その知見を社会に発信していくことを目指しています。
メタバースにおけるアイデンティティの重要性を改めて考える
「Nem x Mila」による今回の大規模定性調査は、ソーシャルVRユーザーのアイデンティティという、近年ますます重要性を増しているテーマに焦点を当てています。アバターを通して表現される個性や、メタバース空間における自己認識は、現実世界でのアイデンティティとも密接に関係しており、この調査を通して、その複雑な関係性を理解できる可能性があります。
産総研大山博士のスーパーバイザー就任は、この調査の学術的な信頼性を高め、より深い分析結果が期待されます。大山博士の専門知識を活かし、調査結果を社会に還元することで、メタバース空間における人間のアイデンティティについて、新たな知見が得られるでしょう。
また、メタバース関連メディアやコミュニティの協力によって、幅広いユーザーからの回答が集まることが期待されます。これにより、より多様な意見や価値観を反映した分析結果が得られ、メタバースにおけるアイデンティティに関する理解を深めることができるでしょう。
今回の調査は、メタバースという新たな空間における人間のアイデンティティという重要なテーマを深く探る、画期的な試みと言えます。調査結果が広く公開されることで、メタバースの未来を考える上で重要な指針となることが期待されます。