岐阜大学、発達特性と精神的健康度の関連性を研究
岐阜大学の保健管理センターは、学部新入生全員を対象に発達特性と精神的健康度に関する調査を行いました。この調査は、入学後の最初の1ヶ月以内に実施され、発達特性を推測する手法として自閉症スペクトラム指数(AQ)と成人期ADHD検査(A-ADHD)が用いられました。
調査結果
今回の調査において、711人の学部新入生の中で発達特性があると推察される学生は61人(8.58%)でした。さらに、発達特性を持つ学生は、他の学生と比較して、抑うつ、不安、ストレスなどの精神健康度リスクが高いことが確認されました。具体的には、精神的健康度を測るCCAPSの7つの項目において、発達特性を持つ学生は有意に高得点を記録しました。
精神的健康度リスクが高い項目
- - 抑うつ
- - 全般性不安
- - 社会不安
- - 学業ストレス
- - 食行動
- - 敵意
- - 家族ストレス
これらの結果から、大学入学早期における支援の重要性が浮き彫りになりました。発達特性を持つ学生が早期に支援を受けることが、今後の大学生活において彼らの精神的負担を軽減し、充実した学びを得る助けとなると考えられます。
研究背景と意義
ここ数年、発達特性に対する理解が社会の中で進んでいます。大学の教育現場においても、修学支援や合理的配慮の整備が進んでいますが、日本の大学における発達特性を持つ学生の状況はまだ十分に理解されていません。この研究は、その状況を明らかにし、改善への一歩となることを期待しています。
未来の支援の展望
この調査の成果は、発達特性を持つ学生が大学生活にスムーズに適応できるよう、早期に適切な支援や配慮を行う必要性を確認しました。今後は、大学生活を通じて精神的健康度がどのように変化するかを追跡し、さらなる支援策の開発につなげていくことが求められます。
用語解説
発達特性
発達特性とは、自閉症スペクトルやADHDなどの特性を持つ人々の行動や認知の傾向を指します。これにより、社会的なやりとりや注意力に特有の傾向が現れることがあります。
CCAPS-Japanese
CCAPSは大学生の心理的健康を測る指標で、岐阜大学保健管理センターで日本語版が開発されました。これは、米国を中心に多くの大学で導入されています。
今回の研究成果は、2024年10月16日にJournal of Autism and Developmental Disordersに掲載される予定です。