先端技術倫理学会の新たなスタート
2025年5月、一般財団法人学会振興財団が新たに「先端技術倫理学会」として再始動しました。新たな体制をかけたこの動きは、急速に発展するAI技術に伴い顕在化した倫理的課題への迅速な対応を目的としています。ここでは、その背景や新理事の紹介、今後の活動計画について詳しくお伝えします。
AI技術の急成長と倫理的課題
AI技術は社会や産業のさまざまな分野で急速に普及していますが、その進展には倫理的・法的な課題が伴います。AIが認知能力を代替する様子や、人間の独自性が失われる危険性、生成物の著作権や人格権の問題、そして重要な判断をAIに委ねることのリスクが挙げられます。これらの問題は非常に複雑であり、専門的な知識が求められます。
このような背景を受け、学会振興財団のもとで新たに設立された先端技術倫理学会は、AIに関連する法規制の重要性を強く認識し、その分野の専門家を理事として迎えることにしました。
新理事のご紹介
新たに理事に就任されたのは以下の専門家です:
- - 小西 知世:明治大学法学部の教授であり、医事法に精通しAIと法の領域に詳しい。
- - 藤巻 伍:TMI総合法律事務所の弁護士で、日本及びアメリカのAIに関する法規制に詳しい。
- - 神坂 亮一:川村学園女子大学の教授で、医事法とレギュラトリーサイエンスの第一人者。日本病理学会のAIガイドライン策定委員としても活動しています。
これらの新理事の事例紹介を通じ、先端技術倫理学会は、より強力な運営体制を基盤に、AI技術における倫理的問題の解決を目指しています。
今後の活動計画
新たな体制確認を契機として、同学会は以下の活動を進める計画です:
- - AI生成コンテンツの法的・倫理的審査基準策定。
- - 中高生や大学、研究機関、企業向けのAIリテラシー教育と啓発活動。
- - AI倫理検定制度の創設及び公認研修プログラムの提供。
- - 国内外のAI倫理事例に対する調査や提言、連携の強化。
最近では、テンセント社によるAIを利用した広告事例や、三井住友フィナンシャルグループが導入する「AI-CEO」が、AIが実際の意思決定に影響を及ぼす重要な事例として注目されています。また、AIの進化に伴い、社会全体でAI倫理を再評価する必要性が高まっています。
先端技術倫理学会は、実務家、研究者、市民を結びつける倫理プラットフォームとして、持続可能で信頼性のあるAIと先端技術の活用を促進するため、これからも積極的に活動を進めていくつもりです。
結論
私たちの社会は、AI技術の進展により大きな変革期にあります。先端技術倫理学会の新しい取り組みは、その影響を受ける全ての人々に対して、より安心で倫理的に許容される技術の普及を促進する手助けとなることが期待されます。技術の進化と共存するために、私たちは倫理に基づいた考えを共有し、協力し合うことがますます重要です。