人的資本経営を支えるITツールの活用状況
最近、スマートキャンプ株式会社が行った「人的資本経営におけるITツール利用実態調査」の結果が発表され、人的資本経営を推進する企業におけるITツールの利用状況が明らかとなりました。この調査は634名の回答を基にしており、人的資本経営におけるITツールの必要性や実際の活用状況、直面している課題についての貴重なデータを提供しています。
ITツールの利用率は76.4%に上昇
調査によれば、人的資本経営に関連するITツールを「利用している」と回答した企業の割合は76.4%に達し、さらに「導入検討中」と回答する企業を加えると93.9%にも上ります。データからは、多くの企業が情報開示や分析・レポーティングにITツールを必要としていることが分かります。
最も利用されているITツール
具体的にどのITツールが多く利用されているのか、質問が行われたところ、最も多かったのが「労務管理システム(勤怠・給与など)」で51.3%という結果でした。続いて「人事データ統合・分析ツール」が47.2%、「タレントマネジメントシステム」が44.7%、「採用管理システム」が44.5%、そして「生成AI・AIエージェントツール」が43.7%の利用率となりました。このことから、労務管理システムが人的資本の基本情報を蓄積する重要なデータベースとして機能していることがうかがえる一方、データ分析能力の向上が求められていることも示されています。
課題は人事データの分散
ITツールを導入している企業でも、運用上の課題として最も多く挙げられているのが「人事データが複数のITツールに分散し、連携できていない」という点で、これが全体の31.8%を占めています。また、この他にも「データ分析やレポーティングに精通した人材が不足している」や「ITツールのセキュリティやアクセス権管理に懸念がある」という声も多く聞かれました。こうした課題から、一人あたりのITツールの利用数が平均して3〜4つにも及ぶ現実が浮き彫りになりました。
課題解決に向けた改善策
企業が直面しているこれらの課題に対する改善策について聞いたところ、最も多かったのは「ITツールの追加導入・乗り換え」で37.3%でした。その他には「専門人材の採用」や「人事データの定義やルールの整備」などが続き、企業がデータ整備と人材確保に力を入れていることが伺えます。
調査の結果からは、人的資本経営におけるITツールの導入が進んでいる一方で、情報の一元化や適切なデータ管理が求められている現状があります。ITツールの運用を通じて、さらなるデータの統合や分析能力の向上が図られることが期待されます。
参考情報
本調査の詳細結果は、
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調査概要
- - 調査対象: 従業員100人以上の企業の人的資本経営担当者634名
- - 調査期間: 2025年10月14日〜10月21日
- - 調査主体: BOXIL