株式会社松尾研究所は、オムロンフィールドエンジニアリングと共同で新しいAI判定モデルの開発を発表しました。このシステムは、作業現場で撮影された点検写真をAIが自動で判定するもので、特に保守業務における属人性の高い作業を効率化することを目指しています。
開発の背景と目的
近年、製造業を含むあらゆる業界では、労働人口の減少が顕著となり、保守・点検業務の重要性が増しています。品質を維持しながら人的リソースを効率的に活用することが求められており、オムロンフィールドエンジニアリング(以下、OFE)は長年にわたり社会インフラ領域で高品質なサービスを提供してきました。しかし、特に重要なダブルチェックのプロセスである点検写真の確認作業は、これまで人手に頼らざるを得ない状況でした。
本システムでは、松尾研究所が持つ生成AI技術とOFEが蓄積してきた現場知見を融合させ、設置機器の設定値の照合作業に特化して自動判定を可能にしました。従来の人力に依存していた判断プロセスをシステム化することで、リソースを節約しながらも高い品質を維持できる基盤を整えています。
実運用での効果
約4か月間の効果検証を踏まえ、AI判定システムは8332件の判定を実施し、89%という高い精度を確認。システムエラー率も0.2%と非常に安定した動作を実現していることが確認されました。これらの検証に基づき、2025年10月からはAI適用効果の高い点検業務において本格的な導入を開始します。
利用にあたっては、実際の現場で撮影した写真を用いて事前検証を行い、作業効率を高めるだけでなく、人手作業では避けがちな見落としリスクの低減にも成功しています。
技術的な特徴
この新しいAI判定システムの最大の魅力は、従来の画像認識にとどまらず、写真に含まれる文字情報を正確に読み取る技術にあります。松尾研究所の生成AI技術を活用し、文字情報を抽出するOCR(光学文字認識)と、大規模言語モデル(LLM)による意味理解を組み合わせることで、人が行っていた判断をAIが再現します。これにより、判断過程の透明性が向上し、現場担当者が結果の妥当性を確認しながら利用できる仕組みが整っています。
今後の展望
松尾研究所とOFEは、今後もAI技術への投資を欠かさず、保守運用現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)や作業品質向上に努めていきます。特に、労働力不足が進んでいる現在の社会においては、省リソースでありながら高品質を維持できる次世代の保守運用モデルを構築し、安全で持続可能な社会インフラの実現を深く目指しています。将来的には、AI技術をさらに拡張し、さまざまな業務領域での適用を狙います。労働市場の変化に対応するため、松尾研究所は今後も新たな技術の導入と開発に挑戦し続けます。
この新たなAI判定Modelの導入は、今後の保守業務において大きな影響を及ぼすと期待されています。オムロンと松尾研究所の連携は、保守業務の未来を変える一歩かもしれません。