2024年M&A市場の動向と展望
2024年、日本のM&A市場が新たな記録を打ち立てました。適時開示ベースで総M&A件数が1221件となり、前年比で14%の増加を見せ、2007年以来17年ぶりの過去最多に達しました。これに続いて、取引金額も10兆5397億円を記録し、2年連続で10兆円超えを実現しましたが、取引金額は前年に比べ約13.9%の減少となりました。
市場動向の背景
2024年のM&A市場の背景には、深刻化する人手不足があります。特にIT・ソフトウェア業界や陸運・倉庫業界においては、人材獲得を目的とする取引が活発に行われました。この傾向を見ると、業界全体が労働力の確保に必死であることが伺えます。また、日本市場が縮小傾向にあることから、海外市場へ進出する企業が目立つようになりました。住宅メーカーが米国や豪州に進出する動きが特に顕著です。さらに、海外の投資ファンドも積極的に投資を行っており、これが件数の底上げにも寄与しています。
主要なM&A取引
取引金額が特に大きかった上位3社の動向は以下の通りです:
1.
ルネサスエレクトロニクス
米国のプリント基板設計ソフトウエア企業「アルティウム」を子会社化。取引金額は8897億円。
2.
積水ハウス
米国の戸建住宅事業を展開するM.D.C. Holdingsを子会社化。取引金額は7718億円。
3.
富士ソフト
米投資ファンドKKRのTOBを受け入れ、株式を非公開化。取引金額は5582億円。
これらの企業は、海外展開や新しい市場セグメントへの進出を通じて、競争力を高めようとしています。
国内外の取引動向
国内のM&A案件は前年同月比で16.5%増の993件を記録し、取引金額は3兆3884億円であり、前年に比べておおよそ45.9%減少しました。一方、海外案件は228件を記録し、前年同月比で5.5%の増加。その中でも取引金額は7兆1512億円であり、これは17.2%の増加を示しています。特に米国企業との取引が増加し、73件に達しました。
M&A Onlineの役割
このデータを提供する「M&A Online」は、M&Aを身近に感じてもらい、その重要性を理解・活用してもらうことを目指すメディアです。2025年には、運営開始から10周年を迎え、もっと多くの情報を提供し続ける予定です。M&Aを通じて日本経済のイノベーションや後継者問題の解決に貢献するため、日々努力をしています。
参考資料
さらに詳しい情報は、株式会社ストライクが提供するM&A年鑑2025で確認できます。これはM&Aに関する情報を網羅した重要な資料となるため、関心のある方はぜひ手に取ってみてください。年鑑は2024年1月30日に発売予定で、各書店やオンラインで購入できます。