岡山理科大学が開発した鹿ソニック
富山県南砺市には、岡山理科大学が開発した高周波音による害獣対策装置「鹿ソニック」が設置されています。この装置は、地域のクマ対策として特に効果を発揮していることが報告されています。
鹿ソニックの導入背景
クマの目撃が多かった南砺市の利賀学舎周辺では、子供たちや地域住民の安全を確保するため、市側からの要請を受けて岡山理科大学が今年の6月に「鹿ソニック」を設置しました。この装置の開発には、山梨県にある自動車部品メーカー「T.M.WORKS」も関与しており、高周波音を利用して動物の侵入を抑止する仕組みです。
設置後の効果
設置から2カ月半が経過した現在、装置周辺では一切クマの目撃情報がなく、市長の田中幹夫氏も「大きな成果が出ている」とのコメントを発表しています。さらに、装置前に設置してあるAIカメラも反応していないことから、クマがこの地域から完全に遠ざかっていることが示されています。
この鹿ソニックは、装置のスピーカーから高周波音を放ち、周囲100~150メートルの範囲でクマを寄せ付けないように設計されています。音は通常、人間には聴こえにくい周波数帯域ですが、動物にとっては不快な音とされており、特に午後6時から午前6時までの間に稼働させています。
今後の展望
田中市長は、鹿ソニックの成功を受けて「次のステップ」として観光地にも装置を広げる考えを示しています。南砺市内では、今年の1月から8月の間に64件のクマの目撃情報があり、人的被害は幸いにも発生していませんでした。この新たな取り組みが地域の安全に寄与することが期待されています。
学術的な視点
現場を訪れた岡山理科大学の辻特担教授は、まだ1基しか設置されていないため「効果がどこまであるかは未知数」と述べています。しかし、2カ月半のデータからは「クマが目撃されていない」という結果が出ており、現時点でのハードルは一応クリアしたと評価しています。
最後に
高周波音による鹿ソニックが、クマ対策として効果を発揮したことで、今後の地域の動物対策にも注目が集まります。それが観光客にとっても安全な環境を提供する手助けとなるでしょう。南砺市の取り組みは、他地域への広がりを見せていくのかもしれません。