医療革新を目指す新技術の共同開発
東京大学発のバイオベンチャー企業、ジェリクル株式会社とアース製薬株式会社が新たな医療技術の共同開発に着手しました。両社が組み合わせるのは、アース製薬が有する従来のMA-T System®と、ジェリクルが誇るテトラゲル技術。この2つの先端技術を自在にコントロールし、新たな医療製品を生み出すことを目指します。
MA-T System®とは
アース製薬のMA-T System®(Matching Transformation System®)は、酸化制御技術の一種です。この技術により、亜塩素酸イオンから必要な時に必要な量の活性種を生成することが可能で、流行性のウイルスや細菌の不活化・除菌に幅広く活用されています。現在、この技術は医療、新薬開発、さらには農業やエネルギー分野でも応用が期待されています。
ジェリクルのテトラゲル技術
対するジェリクルのテトラゲル技術は、東京大学工学部の酒井崇匡教授によって開発されました。この技術は、4分岐構造を持つポリマーを使用し、異なる末端を持つ2種類のポリマーを組み合わせることで、均一な網目構造を持つゲルを生成します。これにより、ゲルの物性(硬化時間、弾性率、薬剤の放出速度など)を細かく調整できるため、臨床現場での多様なニーズに応えることが可能です。
ジェリクルは、このテトラゲル技術を10年以上にわたって研究しており、国内外で数多くの学術論文を発表しています。この新しいゲル技術により、医療におけるさまざまな製品開発が進められています。
共同開発の展望
今回の共同開発では、アース製薬のMA-T System®の特性と、ジェリクルのテトラゲル技術との統合が試みられます。これにより、MA-Tのみでは実現できなかった特性を持つ新しい製品の開発が期待されます。例えば、感染制御や点滴治療、創傷治療など、さまざまな医療現場における革新的な製品投入が見込まれています。
ジェリクルとアース製薬の使命
ジェリクルは2018年に設立され、医療分野にテトラゲルを応用することで治療を革新することを目的としています。止血材や癒着防止材、眼科手術補助剤など、幅広い製品を開発中であり、未来の医療を変える製品を世の中に届けることを目指しています。一方のアース製薬も、MA-T System®の技術を社会に広めるため、オープンイノベーションを推進しています。
まとめ
この革新的な取り組みは、医療技術の進化を促進し、患者に新たな治療法を提供するための一歩となることでしょう。今後の展開が期待される両社の共同プロジェクトに注目です。