株式会社ネットオンが実施したアンケート調査によると、2024年度の最低賃金引き上げを受けて、中小企業の53.2%が賃金を引き上げる意向を示しました。これは前年調査に比べ、賃上げを予定している企業が増加しているものの、実際に全ての事業所が賃上げ可能ではない現状が浮き彫りになっています。
調査対象となった173の中小企業が回答しており、その結果、実に46.8%の企業は「賃上げする予定はない」と回答しています。それに対し、賃上げを予告している企業は「最低賃金を下回っていないが、引き上げる予定」が23.1%、「下回っていないが、引き上げる予定」には30.1%がノミネートされ、合計で53.2%に達しました。こうしたデータは賃上げを行いやすい企業環境が整っていないことを意味しています。
特に、多くの企業が最低賃金引き上げ後の新たな水準に対して「負担に感じる」と答えており、引き上げを予定している企業で89.1%がその負担感を抱いています。当然ながら、引き上げの理由には「最低賃金の引き上げに対応するため」が約71.7%を占めており、業績の回復が理由であるという企業はごくわずかで7.6%に留まっています。
更に注目すべきは、調査結果から明らかになった点です。人件費の上昇分を販売価格に転嫁する考えを持っている企業は3分の1以上ですが、実際に販売価格を全て転嫁できた企業はわずか4.7%に過ぎなく、実情としてほとんどの企業がコストを消化する方向に向かっています。このような昨今、特に影響を受ける職種として「調理職」が挙げられ、平均時給は1021円で最低賃金に最も近い数字となっています。
この調査を通じて中小企業が直面する課題や現況が浮き彫りになりました。特に、「価格転嫁が難しい」といった声や「扶養控除などの制度改革が必要」との意見が寄せられています。こうした意見は、経営を継続する上での重大な懸念を示しており、今後もその課題対策に向けた取り組みが求められるでしょう。
中小企業にとって、維持可能な賃上げを実現するためには、生産性向上や適切な価格転嫁、支援制度の活用が不可欠です。また、今後の最低賃金の引き上げが恒常化する見通しの中、企業は経営戦略の再考を余儀なくされています。昨今の経済環境は厳しいものの、ネットオンは『採用係長』を通じて中小企業の採用活動に寄与しつつ、持続的な成長を目指していく考えを示しています。これからも人件費の上昇や市場環境の変化にどのように対処していくかが重要な問題となるでしょう。
まとめ
この調査から導き出される教訓は、最低賃金引き上げに対する中小企業の懸念と苦悩です。これらの課題に対処することで、企業側にも持続的な成長が期待されており、今後の取り組みが注目されるところです。