日立システムズと東京大学が取り組む新たなヘルスケア分析基盤
神奈川県にある株式会社日立システムズ、株式会社メドミライ、東京大学が共同で進めているプロジェクトが注目を浴びています。2024年度のAMED公募事業「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業」の一環として、生成AIを活用したヘルスケア分析基盤を新たに構築したのです。この基盤は、特にメドミライの「行動変容促進アプリケーション(MIRAMED®)」を活用し、予防や健康づくりのさらなる推進を目指しています。
ヘルスケア社会実装基盤の概要
開発された分析基盤は、約100万件ものリアルワールドデータ(RWD)を活用しており、神奈川県から提供された匿名化された国保データベース(KDB)から抽出されています。この中には、膨大な健診データが含まれており、それをもとに最新の技術を駆使して、「ダッシュボード」と「AIエージェント」という二つの主要機能を備えています。
ダッシュボード機能
この機能では、健康指導を受ける人々の健康状態の数値データをグラフや表に自動的に変換し、可視化します。これにより、保健師の意思決定を大きくサポートするだけでなく、膨大なデータの処理にかかる時間を大幅に短縮することができます。これまで約16時間を要していた集計業務が、わずか2分で完了することも可能になりました。
AIエージェント機能
この機能は、保健師が個々の健康情報をもとに適切な分析やレポート作成を行えるよう支援します。生成AIがユーザーのリクエストを理解し、そのデータを基にして健康指導のアドバイスやメール文面を自動生成することで、保健師の手間を省き、業務を効率化します。特定保健指導の計画から実行までを一貫して支援するこの基盤は、現場での業務負担を大幅に軽減することが期待されています。
社会課題への対応
この新しいヘルスケア分析基盤は、医療分野でのデジタル化が進む中、特に地域における健康課題の解決を図るための重要な役割を果たすとしています。日本は高齢化が進んでおり、医療・介護費の増加が国にとっての大きな課題です。厚生労働省は、健康寿命の延伸や予防・健康づくりを推進しており、本プロジェクトはその一助となることでしょう。
企業の展望
今後、日立システムズはこの分析基盤を地域の自治体や医療機関、さらには企業向けにも展開を予定しています。特定健診の受診意義を向上させ、健康指導を通じて人々の行動変容を促すことに寄与することを望んでいます。
また、アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、今回のプロジェクトを通じて提供される新たなサービスが地域社会に大きなインパクトを持つことを期待しています。
まとめ
日立システムズと東京大学の取り組みが、今後の保健医療や地域の健康づくりのモデルとして広がることを期待する声が高まっています。生成AIの活用によって、より個人に寄り添った、質の高い健康支援が実現されることで、未病改善や健康寿命延伸など、新たな施策の検討が進むことに大いに貢献するでしょう。