キリンホールディングスが取り組む自然移行計画
キリンホールディングス株式会社は、自然資本に関するリスク管理の国際的枠組みであるTNFDのパイロットプログラムに参加しました。このプログラムにおいて、キリングループ内で水リスクの高い醸造所の一つ、New Belgium BrewingのFort Collins breweryにおける自然移行計画の立案が行われています。
この醸造所が位置するCache La Poudre流域は、水資源の依存度が高く、かつその影響も大きい地域です。実は、この流域の水源は醸造所だけでなく、地域住民や農業、工業など多様な使用用途があるため、流域全体での水資源の確保はまさに共通の課題となっています。近年、気候変動の影響や人口の増加により、水の需要が急増し、取水コストも上昇を続けているのです。これにより、流域に住む人々や自然にとって水リスクの高まりが懸念されています。
そこで、キリンホールディングスは、このTNFDのパイロットプログラムを通じて、Fort Collins breweryの水に関するリスクを低減するための計画を立案しました。この計画では、醸造所内での水使用量削減に加え、流域全体の環境保護に向けたランドスケープアプローチが必須であることが明らかにされています。
フォートコリンズ醸造所の特性
Fort Collins breweryは、その特性から、自然環境とビジネスの関係が大変顕著な事業所です。2023年には、シナリオ分析ワークショップを実施しながら、物理的な水ストレスに加え、批判リスクの低減という視点も重要であると認識しました。これは、事業が社会や環境と共存しながら成り立つためには、様々なリスクを管理していく必要があるという背景から来ています。
流域全体の水資源の確保は、多様な立場や状況に置かれたステークホルダーにとって共通の課題です。それぞれのステークホルダーが直面する問題や要因は異なるため、単一の解決策では効果が薄くなる可能性があるため、共通の認識を元にした効果的な施策の実施が求められます。
ステークホルダーとの連携
今後は、流域内のさまざまなステークホルダーを招集し、その一致した認識のもとに具体的な対策を考え、ビジネスのKPIを設定していく予定です。協働的な取り組みを続けることで、流域全体の生態系サービスを保全・強化していくことができるでしょう。また、このプロジェクトの成果はTNFDの自然移行計画ガイダンスにおけるケーススタディとしても紹介されました。
環境保護に対するキリングループの思い
キリングループは、自然の恵みを原材料に、環境に配慮した事業活動を積極的に進めています。生物資源、水資源、気候変動などの相互に関連する環境問題に対しても統合的に取り組んでおり、未来の世代にも豊かな地球の恵みを引き継いでいくことに力を注いでいます。
これからも、自然と人々にポジティブな影響をもたらすべく、さまざまな施策を推進していくことでしょう。キリンホールディングスの取り組みにぜひ注目してみてください。