低遅延通信技術のフィールドトライアル
ソフトバンクとエリクソンのコラボレーション
最近、ソフトバンク株式会社とエリクソン・ジャパン株式会社が、Qualcomm Technologiesの協力のもと、東京都内の5G SA商用ネットワークでの低遅延通信に関するフィールドトライアルを実施しました。この試験では、L4S(Low Latency, Low Loss, and Scalable Throughput)を含む様々な5G/5G-Advanced技術を組み合わせ、高いリアルタイム性が求められるXR(Extended Reality)コンテンツのストリーミング配信の性能を評価しました。
低遅延通信の実現
実施したフィールドトライアルでは、低遅延通信がどれほどの効果を持つのかが明らかになりました。L4S技術などの導入によって、無線区間におけるレイテンシーが約90%も低下。これは通信の品質を非常に向上させる結果で、低遅延かつ安定した通信が継続的に確立されたことを意味します。
技術の概要
このフィールドトライアルでは、具体的に次の技術が検証されました:
- - L4S: 通信の遅延を低減するために、ネットワークの混雑に関する情報をリアルタイムでモニタリングし、それに基づいたデータ送信を行います。
- - Configured Uplink Grant機能: モバイル端末から基地局へのデータ送信を迅速化することで、特にXRコンテンツなどのリアルタイムな要求に対応します。
- - スケジューラーによるRate Control: 設定されたスループットを維持するために無線リソースを動的に管理します。
- - ネットワークスライシング: 異なるサービスニーズに応じてネットワークを仮想的に分割し、最適な通信品質を提供します。
これらの技術の組み合わせにより、XRアプリケーションにおける映像の表示や操作の応答が安定し、ユーザー体験が向上します。
各社の役割
このフィールドトライアルでは、各社が明確な役割を担当しました。ソフトバンクはフィールドトライアルの対象局の選定や評価項目の検討を行い、エリクソンは5G/5G-Advanced技術の提供や事前検証を担当しました。Qualcomm Technologiesは、必要なハードウェアやアプリケーションを提供し、実験を支援しました。
センターからのコメント
ソフトバンクの専務執行役員兼CTO、佃英幸氏は、フィールドトライアルの成果が5G SA商用ネットワークの活用可能性を証明すると述べています。今後はこの知見を基に商用展開を進め、高品質な通信体験を提供していく方針を示しました。
エリクソンのジャワッド・マンスール社長は、次世代XR体験に必要な通信信頼性を実証したことを強調し、今後のネットワークの進化が新たなデジタル体験の創出に寄与することを期待しています。
最後に、Qualcomm Technologiesのヘマンス・サンパス氏は、この試験により分散型空間コンピューティングと低遅延処理機能の重要性が明らかになったと語り、XR技術の可能性をさらに広げる意欲を示しています。
まとめ
今回のフィールドトライアルは、ソフトバンク、エリクソン、Qualcomm Technologiesがともに展開した革新的な取り組みであり、低遅延通信の実現に向けた重要なステップとなりました。これにより、将来的にはスポーツイベントや大規模な催事においても、より快適で安定した通信サービスが実現できることが期待されています。