免震技術の新たな一歩
日鉄エンジニアリング株式会社(代表取締役社長:石倭行人)が開発に携わった、長周期・大振幅地震動に対応した多段すべり支承『TSB』が、一般社団法人日本免震構造協会より第26回技術賞を受賞しました。この受賞は、半田市に位置する知多半島総合医療センターのプロジェクトの成果として輝かしいものです。
プロジェクトの背景
近年、南海トラフ地震の発生が危惧されています。従来の免震設計では想定できないレベルの大振幅地震動が起こる可能性が指摘されており、復旧や耐震性の確保が求められています。このような背景の中で、本プロジェクトは内藤建築事務所や織本構造設計といった専門家たちの協力のもと、長周期地震に強い新しい免震システムを生み出しました。
『TSB』とは?
『TSB』は、2種類の異なる摩擦係数を持つ免震装置を縦に連結させたシステムです。これにより、地震の揺れに応じてその動作が段階的に変化します。通常の地震であれば、NS-SSBⓇ(球面すべり支承)が振動を吸収し、さらに大きな地震では、PILLAR製の平面すべり支承(PSSB)が追加で機能し、最大165cmという免震クリアランスを実現します。このシステムによって、建物に対する揺れを効果的に抑制することが可能となりました。
受賞の意義
日本免震構造協会からの評価は、『TSB』が小・中規模の地震から超巨大地震まで対応可能な免震システムとして、多様な地震動に対する効果を持つことが大きな要因です。この受賞を通じて、日鉄エンジニアリングはさらなる技術革新を目指し、安全で安心な社会の実現に寄与することを誓っています。
未来への展望
日鉄エンジニアリングは今後も、鉄鋼の専門知識とエンジニアリング力を活かし、免震・制震技術の開発を進める方針です。災害に強い地域づくりを通じて、安心な暮らしを支えるお手伝いをしていく計画です。また、知多半島総合医療センターにて新たに実装されたこのシステムが成功例となり、他の地域や施設でも同様の取り組みが進むことを期待しています。
ご支援に感謝
このプロジェクトを実現するにあたり、多くの方々にご支援と協力をいただきました。名古屋大学の名誉教授福和伸夫氏や、半田市の建築主、株式会社大林組およびその技術研究所の方々に心より感謝申し上げます。これらの協力によって、私たちは今後も進化し続け、より良い未来を築いていけると信じています。