鳴子の米プロジェクト20周年、新刊『つながるごはん』と新米「ゆきむすび」販売
宮城県大崎市の鳴子温泉地域で実施されている「鳴子の米プロジェクト」が今年で20周年を迎えました。その記念として、新刊『つながるごはん』の発売とともに、新米「ゆきむすび」の販売が始まります。これは地域の農業と食文化を守るための重要な取り組みです。
鳴子の米プロジェクトとは?
鳴子の米プロジェクトは、地域の農業や食、そして暮らしを守るため、約20年前に立ち上げられました。観光客が減少し、耕作が放棄される中、地域の人々が協力し合い、農業を再生させようという意義ある活動です。地域の特性を考慮し、農家と消費者が互いに理解し合うための場を提供してきました。
新品種「ゆきむすび」の誕生
このプロジェクトの一環として、2007年には「ゆきむすび」という新しい米の品種が誕生しました。この米は寒冷地で育てられることを前提に開発され、うるち米ともち米の特性を併せ持つ特徴があります。甘みや粘りが強く、おむすびや弁当に最適です。また、米の収穫では伝統的な手法が用いられ、地域の風景も保たれている点が特徴です。
地域支援型農業(CSA)への取り組み
ともすれば経済的な理由で見過ごされがちな農業と食の大切さを再認識するため、米プロでは地域支援型農業(CSA)を導入し、農家と消費者間の信頼関係を築いています。消費者は、あらかじめ予約した価格で米を買うことで、農家の生産活動を支えます。これにより、地域全体が一体となり米づくりを行っています。
おむすび屋「むすびや」の誕生
鳴子の米プロジェクトの活動が進む中、地域の女性たちが中心となり、「むすびや」というおむすび屋も開業しました。約100種類のおむすびが提供され、地域の雰囲気を感じられる場所となっています。これにより、観光客にも地域の魅力を発信し、占来る人々に米プロの活動を知ってもらうきっかけを作っています。
交流を通じて生まれる信頼関係
毎年、田植えや稲刈り交流会の開催を通じて、省略することのできない擬似的な農作業を行い、農家と消費者が一緒になって体験を共有しています。この体験が信頼関係を育み、地域の農業への理解を深める要素となっています。
新刊『つながるごはん』の発売
12月10日には、鳴子の米プロジェクトの取り組みをまとめた書籍『つながるごはん』が発売されます。執筆者はプロジェクトの実践者とその活動に共鳴する識者たちで、活動の背景や重要な視点について語られています。この書は、地域の農と食が人々をどのように結びつけるのかを再認識するきっかけにもなります。
新米「ゆきむすび」の販売
さらに、書店で「ゆきむすび」の新米が販売されることになりました。通常5Kgからの販売に対し、今回は2合袋の小分けサイズで提供されます。消費者が実際にこの米を味わうことで、農業や地域とのつながりを実感できることでしょう。このように、鳴子の米プロジェクトは単なる米の提供を超えて、地域と食べ手を結ぶ大切な役割を果たしています。
新たな販売先として、東京都内の書店を含む各地の書店で12月10日から順次「ゆきむすび」が購入可能になります。これを通じて、地域の農業と食文化の魅力を一人でも多くの人に広めていきたいと願っています。