大規模複合施設・Shibuya Sakura Stageの次世代型フードホールとは

渋谷に新たな拠点が誕生した。2024年7月、桜丘エリアに開業した「Shibuya Sakura Stage」の4階に位置する飲食エリア「SHIBUYA SAKURAGAOKA BEERHALL」では、全店舗の料理をスマートフォンから注文し、決済する新たなモバイルオーダーシステム「NEW PORT」が導入されている。このシステムによって、昼間はフードコートとして、夜はレストランのような体験を提供することが可能になった。特に、外出先での食事のスタイルが変化する現代において、このフードホールの形はますます注目されるだろう。

「Shibuya Sakura Stage」は、地域の文化と暮らしの中に新たな価値を提供することを目指して開発された施設であり、そこに込められた思いを伺うべく、東急不動産株式会社の林永子さんにお話を伺った。

林さんは、桜丘エリアが渋谷の中でもあまり認知されていない地域だと述べ、渋谷駅からのアクセスを良くすることで、ここを新たな玄関口にしたいという強い信念を持っていた。その中で、SHIBUYA SAKURAGAOKA BEERHALLは、特にオフィスワーカーが多いエリアにおいて、「落ち着いた空間でゆっくり食事をしたい」、「さまざまなジャンルの料理を楽しみたい」というニーズに応えるべく設計された。運営面では、飲食店がそれぞれの料理を提供しつつも、あたかも一つのレストランのように感じられる体験を創造することが目指されている。

昼間のフードコート利用だけでなく、夜の飲食空間としての利便性を重視するため、各店舗の料理を席に着いたままでオーダーできるようにし、最後にまとめて支払いができる仕組みが採用された。これは、フードホールの新たな形とも言える。

サクラステージが抱える課題や懸念についても尋ねた。若山まりさんは、モバイルオーダーの便利さがありながらも、利用者が手間に感じることで、本来食べたかった料理がテーブルに届かないことが懸念される場面もあると指摘した。したがって、顧客がストレスなく利用できる環境づくりが大切だという。

また、若山さんは現在の飲食業界が抱える人手不足という現実にも触れ、モバイルオーダーによって配膳や会計業務を省略することで、店舗運営がシンプルになっていく利点を強調した。お客様と店舗の両方にメリットをもたらすこのシステムは、今後の飲食業界においても重要な役割を果たすことが期待される。

開業にあたっては多くのテストランも行われたが、その過程で必要な準備やオペレーションの整合性を確認しつつ、実際の店舗とも密に連絡を取り合う姿勢があったため、開業後の運営もスムーズに行われるようになった。特にユーザーの利便性を考慮したネットワーク環境の整備は重要なポイントだった。

さらに、サクラステージの開業以降、顧客から寄せられるフィードバックも新たな方向性に向かう原動力となっている。顧客が求めるものが多様化している中、今後もさらなるシステムの進化が求められる。若山さんは、特別な空間を提供するためのシステムとして、今後も顧客の期待にも応えられる施設づくりを目指していると語った。

最終的に、SHIBUYA SAKURAGAOKA BEERHALLが目指すのは、ただ食事を提供するだけでなく、「来てよかった」と感じてもらえるような体験の創出である。モバイルオーダーシステムを駆使しながら、地域に根ざした新しい食文化を作り上げることに挑戦している。これにより、多くの訪問者が多彩な料理を楽しむだけでなく、渋谷の魅力をさらに引き出す一翼を担うことが期待されている。