がん診療の革新
2025-02-14 11:43:33

京都大学によるがん診療のリアルワールドデータ収集と自動化技術の革新

京都大学によるがん診療の革新



京都大学医学部附属病院と新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社(PRiME-R)は、がん診療に関するリアルワールドデータの大規模な収集と利活用を目指す共同研究プロジェクト「CONNECT-2」を通じて、医療機関の病理検査レポートから約10万件のバイオマーカー情報を自動的に抽出し、データ構造化に成功しました。この取り組みは、患者個々の遺伝子情報に基づくゲノム医療の発展に寄与するものです。

1. 取り組みの背景と内容


近年、がん治療は従来の臓器別アプローチから、患者一人一人の遺伝子情報に基づくゲノム医療へと変革しています。しかし、医療現場では、患者のバイオマーカー情報が電子カルテ内のフリーテキストやPDF、画像形式で保存されることが一般的で、構造化されたデータとして活用されていないのが現状です。これにより、医師は電子カルテを一件ずつ確認せざるを得ず、多大な負担を強いられています。

この問題を解決するため、PRiME-Rでは新しいソリューションの開発を進めています。自然言語処理技術と画像処理技術を駆使し、電子カルテから重要なバイオマーカー情報を自動的に抽出し、構造化される仕組みを構築しました。この技術は、院内外問わず、様々な種類の検査に対応可能であり、すでに6つの医療機関から約10万件のデータ構造化を完了しています。

1-1. 具体的な技術


具体的には、医療機関で実施された病理検査のレポートから、バイオマーカー情報を自動で抽出するシステムを用いています。このシステムは、電子カルテの情報を迅速に解析し、医療従事者が簡単に必要なデータにアクセスできるようにします。こうしたデータ収集技術により、バイオマーカー情報が蓄積され、将来的にはより多くのデータが集約されることが期待されます。

2. 利活用の可能性


自動抽出した構造化データは、特定のがん種や遺伝子変異を持つ患者の効率的な絞り込みを可能にし、治験候補者の迅速な特定に寄与します。新たな治療法や臨床試験へ参加する必要のある患者をいち早く見つけ出すことで、より適切な治療が提供できるようになります。

さらに、本プロジェクトに参加している製薬企業には、構造化されたデータを提供することで、臨床研究の施設選定や未充足医療ニーズの探索に活用できる情報を提供します。このように、データの利活用を通じて個別化医療の推進を図ることができるのです。

3. 今後の展望


今後は、さらなるデータの収集と構造化対象を拡大し、バイオマーカーに基づいた分析サービスの開発も進めていきます。これにより医療機関と製薬企業の双方が使用できる大規模なリアルワールドデータレジストリの構築を推進し、そこから得られる証拠(リアルワールドエビデンス)を通じて、効率的な医薬品開発や次世代医療の発展に貢献していく予定です。

まとめ


このような取り組みを通じて、ゲノム医療の進展と患者に対して個別化された治療機会の提供が可能になることを目指しています。現場の負担を軽減し、がん治療の新たな地平を切り拓くこのプロジェクトに、今後も注目が集まりそうです。


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会社情報

会社名
新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社
住所
京都府京都市左京区吉田本町36番地1
電話番号

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