次世代宇宙システム技術研究組合NeSTRA、JAXAの支援を受ける
最近、次世代宇宙システム技術研究組合(NeSTRA)が国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業において新たな技術プロジェクトを発表しました。このプロジェクトは、特に大気突入技術に焦点を当てたもので、低コストで高信頼性を兼ね備えた「展開型エアロシェル技術」を開発することを目的としています。
プロジェクト「Mars Touch Project」の概要
この新しいプロジェクト、名付けて「Mars Touch Project」では、独自の展開型エアロシェル技術を用いて地球低軌道から火星への負荷軽減と帰還を実現します。このプロジェクトでは、特に以下の2つの主要な活動が含まれます。
1.
地球低軌道からの大気圏突入実験
2020年代後半をターゲットに、直径3.0メートル以上のエアロシェルを用いて地球低軌道からの大気圏突入実験を実施します。これにより、耐荷重性能と耐熱性能を測定し、大気圏突入技術の確立を目指します。
2.
超小型火星着陸機の開発
展開型エアロシェル技術を用いた約20kg級の超小型火星着陸機システムの開発を進め、これまでの技術よりも小型で省電力を実現することを目指します。
展開型エアロシェル技術の重要性
展開型エアロシェル技術は、約20年前に東京大学での研究を起源とし、様々な実験を経て成熟した、日本発の革新的な技術です。この技術は、宇宙環境での活動を可能にする新たな手段として注目されています。
従来の大気圏突入技術と比較して、展開型エアロシェルは十分な耐熱性能を持つ一方で小型軽量、更にはコスト削減も期待できます。この技術によって、宇宙探査がより身近なものになるでしょう。
日本の火星探査への期待
火星探査は、今後の宇宙開発において重要な位置を占めることが予想されています。2030年代における国際的な宇宙開発競争の中で、日本独自の技術による火星着陸探査を実現することで、国際社会における立ち位置を強化することが期待されます。
開発体制と関与団体の役割
本プロジェクトは、NeSTRAを中心に産学の知見を集結させ、藤倉航装株式会社とElevationSpaceがそれぞれの強みを生かしながら実施されます。具体的には、
- - NeSTRA:プロジェクトの管理、技術開発。
- - 藤倉航装:エアロシェルの製造技術開発。
- - ElevationSpace:回収技術の開発と運用。
この連携により、効率的で効果的な開発を目指しています。
各参加団体のコメント
ElevationSpaceの代表取締役CEO小林稜平氏は、「本プロジェクトへの参加は、私たちのビジョンである『軌道上のヒト・モノをつなぐ交通網を構築する』へ向けた大きなステップです」と語っています。彼は、宇宙からの帰還や火星着陸技術の発展に貢献できることに強い期待を寄せています。
一方、NeSTRAの研究代表者秋田大輔氏は、大気圏突入技術の革新が新たなビジネスチャンスを生むと述べ、これまでの大気圏突入のボトルネックを解消したい意欲を示しています。
まとめ
本プロジェクトは、次世代の宇宙のあり方を示唆するものであり、宇宙探査の新たな時代を宣言する重要なステップとなるでしょう。今後の展開が非常に楽しみです。私たちの宇宙の未来にブレンドされるこの革新が、どのように進展していくのか、一層注目していきたいと思います。