AI時代に向けた新たなデータセンターの挑戦：液冷サーバー実証実験

AI時代に向けたデータセンターの進化

近年、AI技術の急速な進化により、高性能なGPUサーバーへのニーズが高まっています。これに応える形で、株式会社IDCフロンティアとバーティブジャパン合同会社は、東京府中のデータセンターにおいて150kWの高負荷環境で液体冷却方式（Direct Liquid Cooling：DLC）を用いたサーバーの実運用を確認しました。

実施背景

dこの共同検証は、AI導入に際し、安定した運用が求められるデータセンターの需要に応えるものです。IDCフロンティアでは、「DLCハウジングサービス」を2025年7月より提供予定であり、今回の実証実験はその前段階として、液冷対応サーバーの運用実現性を実地で確認することを目的としています。

データ収集のために、実際の高発熱負荷を再現する模擬装置と、バーティブ製の冷却分配装置（CDU）を使用しました。検証では、ラックあたり最大150kWという高負荷での冷却性能と運用性を確認し、専用室の構築なしに小規模導入を可能とする選択肢を示しました。

共同検証の内容

この検証は、次の2つの方式で実施されました。

1. Area DLC: 液冷設備が整ったフロアでの検証（In-Rack CDUを使用）
2. Custom DLC: 1ラック単位で液冷を実現するサイドカー方式のCDUを用いた検証

検証の様子

- 冷却性能確認: モニターで冷却水の温度や圧力をリアルタイムで監視し、適切な冷却を確保。
- 負荷再現: 樹脂管に充填した冷媒を循環させ、高発熱負荷を模擬。

このように革新的な冷却方式のもと、新たなサーバー運用が実現可能であることが確認されました。

知見と今後の展望

共同検証から得られた結果は、「DLCハウジングサービス」の改善に活用され、導入時の不安や課題を軽減するための情報として提供することを予定しています。IDCフロンティアは、今後もこれらの実測データを基に、液冷対応の環境設計を最適化し、データセンターサービスを利用しやすくする努力を続けていきます。

株式会社IDCフロンティアの社長、鈴木勝久氏は「本検証は、AI時代に向けた重要な取り組みであり、国内における液冷技術の普及に貢献できると確信しています」と述べています。一方、バーティブジャパンの倉橋健カントリープレジデントは、「日本の急成長するAIエコシステムに向けて、高性能な液体冷却環境を立ち上げる重要な一歩です」との意義を語りました。